世界は終わらない

玉砕しかないのならすればいいさ。恥曝しで生きるくらいならば、勲章抱えて地獄行脚だ。ね、あの、ふざけんな殺すぞ、って。死にたいなら死ねばいいのにな、って。あの子の傷全部背負ってやれるほど俺は丈夫にできてはいないけどね、痛いのとか、傷がつくのとか、ずっと眠ったまんまになるのとか、起きてんのか寝てんのかわからなくなっちまうとか、部屋の隅だけが聖域になっちまうとか、晴れの空に恐怖を覚えたりとか、そういうのはよくないと思うの。俺は偽善者だって、いつもいつも言い訳代わりで、限がないんだ。何を埋めるために穴を掘っているの? とかね。質問はいつも同じだ。回答は色々あるだろうが、穴を掘ることが目的の日もあるんじゃないかな。昔埋めたタイムカプセルを掘り出すために、でも、タイムカプセルなんて埋めたことがないの。あるんだあるんだ、きっと出てくる、ここじゃなかったかもしれない、あの木の横だったかもしれない。この世はノンフィクションだから、奇跡的にしか奇跡は起きなくて、呼んだ同級生は他人ばかり。苦笑いの元に時間が過ぎて、どうせ、帰り道に、誰かと誰かがホテルに入る。僕は終電がなくなった後もカプセルを探しているの、あの子があるって言ったんだもんな、ないなんてわけがない、なければならない。あの子の世界は終わったらしい。僕の世界は未練たらしく、まだ味気なく続いている。
感動的な風景なんて殺してしまえ、そんな健康的なものの中に君はいないぞ。君はどこかに行くべきだ。旅に出ろって事じゃない。もう自分だけで堂々巡りのシステムを構築しちまっているのなら、ここにいるべきではないよ。僕は君の求める答えを持っていない。頭のいい君だから、犬人間を殺す武器くらいもう探し当てただろう。つまらない人間をぶち殺せ。首をちぎって、それから埋めろ。そうさ、それは僕のことさ。
八年後、君はあのワンピースを着なくなっていて、僕の頭を掘り当てに来る。曝れ頭の中からは見たことのない手紙。「大好きだったよ」


多くの思春期の屑どもと、あるいは永遠に思春期だろう人々と、何かやれればいいと思うのだ。考えなくても良いことを考える時期だなんて言いますけどね、だったらつまり、世の中に考えなきゃいけないことはないってことなんじゃないのかな。