連作 生きることについて
起きがけに生きたいとさえ思えたら生きたいことを忘らるるのに
歯ブラシの開くを毎朝見ている毎晩換えられずに佇む
2lの冷水筒に麦茶沸かす1パックでは薄いかと思う
袖通すカッターシャツの皺と皺忘失のアイロンのしまい場
鍵閉めて一歩二歩進み引き返す鍵を開けてまた閉める旭光
この世には俺しかいないのであれば他人の子の声聞かずに済んだ
電車とは電気で動く車とて怨嗟で動く気さえしている
何もせずと何もできずの間にて何か起こることだけを待ちつつ
やり過ごしやり過ごしてなおやり過ごしいつになったら向き合えるやら
同じ種類のコンビニの握り2つ選んでも良い俺が認める
日が高いなあ! 風があれば良かった暑さの中に影は落ちつつ
犬が往く犬の飼い主が着いて往くどこへ往っても散歩だと言う
夕方の少し前にある静けさを待ち望んでは憎んでもいる
植物のように過ごせど腹は減る葉緑素すらないからかしら
読み古された100円で買った新書どうにも暗くなり目が滑る
半額の弁当すら手に入らぬなら半額の人生受け入れる
部屋の空気が湿っている布団も人生も湿っているだろうか
寝るのだと決めていたはずなのにまた眠気と戦い勝ってしまった!
湯が沸くのに時間がかかるのは良い湯が沸くのだけ待っていられる
急に思い立って風呂の湯を沸かす日本茶にでもなったつもりか?
思い返せばあの時もああだったなんて思い返しつ沈む湯
風呂の湯を抜く死ぬときもこんな気がするのかと思う29時半