2011-01-01から1年間の記事一覧

自殺について

彼らは、彼女が自殺したのだと言う。それも、揃いも揃って、同じ顔で言うのだ。お悔やみ申し上げます、このたびは誠に残念なことで。僕は彼女が自殺したとは思えないね、と煙を吐いた。人生は、完結しないといけない。例えどんな終わり方にせよ、完結しなけ…

君は、プロフェッショナルではあるけど、まるっきり本物じゃない。汚れちまった挙句、必要なものを全部捨ててしまった。あの子はアマチュアだけど、ぜんたい本物だ。それでも汚れちまった挙句、欲しかったものは全部手に入らなかった。いくらアウトローを気…

噛み殺されることについて

最初の嫌悪、続く葛藤、終わらぬ絶望、その中で僕は安息を得たような気で居た。いつしか暗闇は去り、灯火の元で安らいでいるかのような、そんな気分さ。だけれども、そんなのは、まるっきり、嘘だった。自分の意思でここに来て、誇りを持ってここに立ってい…

TOKYO旅情

懐かしき歌、聴くたびに、思い出深くなり、忘却の彼方、泳ぐたびに、絶望に潜ることとなる。清浄な水のような声、恐らく美化した後の記憶。手繰ろうとしても、捨て去ろうとしても、絡まり続けた関係は解消されないのだ。三人目の男が現れた後、二人であった…

動物実験として

あの子はすべてを話すことで自分が救われると思っていた。懺悔でなく、告白でもない、純粋に自己の全てを話すことで、救われるのだと信じていた。後悔なんて、あるいは罪の意識など一つたりとも持ち合わせていないのに、ぼんやりとした不安に包まれていたの…

寂寞風景

一昨日は月の大きな夜だったらしい 僕はそれをとんと知らずに 暗い部屋で煙草を飲みつ 酒を傾けては独りごちていた とくとく とくとく 薄い硝子のコップさ それに酒をそそぐよに 喉に流しいくのです 拙い生を思い知り 喉に流しいくのです 何も考えたくないの…