君は、プロフェッショナルではあるけど、まるっきり本物じゃない。汚れちまった挙句、必要なものを全部捨ててしまった。あの子はアマチュアだけど、ぜんたい本物だ。それでも汚れちまった挙句、欲しかったものは全部手に入らなかった。いくらアウトローを気取っても、いくら鎖を切り離したつもりでも、いくら逃げ切ったつもりでも、いくらにこやかに笑っても、いくら希望を歌っても、いくら他人を救っても、君もあの子も、身体を売って稼ぐ、社会の下僕なのさ。君は今でも彼女を救えたと思っている。もしも君に、ひとつだけ間違いがあるとすれば、それだ。そんなものは、救いようのない、たわ言だ。救われないロボット人間が救われない犬畜生を救うなど、馬鹿げた妄想だ。君はあの子を日陰から出してやりたかったようだけれど、あの子は涼しいところが誰よりも好きなだけだったんだ。あの子は何も語らず、ただ微笑んでいただけだったけれど、君が日向にいないことだけは知っていたんだぜ。あの子は君の嘘を暴きたかったわけじゃない。あの子は君の本当のところを肯定したかっただけ。とてもシンプルな感情論さ。


ああ、それでも君は救われていた!
ああ、それだから君はあの子に救われていた!


それが悲しみの源であることを僕は知っている。それが更なる痛みを生むことを僕は知っている。過去に囚われるのは、鎖に繋がれているのと同義だ。過去を顧みないのは、自らの脳髄を巻き散らかすだけの結果を生むのだ。君は熟慮しないといけない。君とあの子は同一でなく、同じところに立っていたわけでもなかった。

「ベッドですること以外は、君とのほうが楽しいよ、世界中の誰とよりも、君とのほうが」

君は熟慮しないといけない。全ての言葉の意味を。全ての表情の意味を。そして、全てのあの子の意味を。


わかったつもりで、二度、三度。思い巡らしてみたものの、焦燥感の募るばかり。一番救われたいのは僕なのに。