滾らせ

現実は俺を殺すな。希望はここにあるはずで、ずうっと僕は手に持っているのに。なんてか弱い光なのだろう。軽々しく望むな、偽善笑いで僕は言う。そんな言葉に納得なんてさ、できるわけないだろう! 何度も何度もひっくり返して僕はここに立っているはずなのに、まだひっくり返そうとするのか。君の絶望はどこにある? それが僕のそばにあるというならば、僕は死ぬ以外に無い。君の希望はどこにある? それが僕のそばにあるというならば、僕は殺される以外ない、きっと君にね。僕が君よりずっと幸せだってね、君はそう言うかも知れないけれど、僕が君の不幸を背負う必要は無い。責任も無い。俺は、俺の自己意思で、君の話を聞く、それだけだ。これは拒絶でなく、れっきとした自己意思であることを確認するためだ。それしか僕にはできぬからね。それより先を求められるならば、僕は、どうにかしちまうと思うよ。そいつは僕が、また、君に、ね。見返りを求めちまうと思う、そんなことになったらね、それが怖くて仕方ないよ。俺はさ、それでも、愛してるよ。畜生、偽善かな。偽悪かな。馬鹿野郎、駄目な男だ。愛してるよ。これは、君と、もう一人の君に捧ぐ。私信、ね。近づくのが怖いのかな、今更? へ。
適せないのではないのだから、適さないのは甘えだ。努力できなくはないのだから、努力しないのは甘えだ。僕は、心からそう思う。けれど、甘えてしまうのは、そもそもが、不適格な証ではないか。そもそも不自由なのだ。世界の、驚くほどの優しさに、僕は怯えている。また、時たまに見せる冷酷さにも。迷っているんだ。あの人と話したくて仕様がない。ただ、背中を押して欲しいだけなのだ。それは俺が、知っていたり、知らなかったり、するからだ。一方で俺は現実を知らない、だから夢を見る。もう一方で俺は現実を知っている、だから夢が砕かれる。甘えはクソだ。そんなことは知ってるよ。糞ッタレは俺だ。わかってるさ。甘ッタレめ、へ、くだらないもんだ。
壊れたあとのことは、壊れてからで良いってね、僕は笑顔で言っていた。けれど、俺は、俺は! 怖いのだ。生きられなくなるのが怖い。死ぬことになるのが怖い。ひいては、食えないのが怖い。これからやることが、誰にも理解されないかもしれない、それが怖い。壊れるのが怖いよ。あの子が笑ってくれるだけでいいだななんて、拍手は一人だけでいいだなんて、そうやって居るには僕には覚悟が足りない。ずうっと、ずうっと考えているのに、いや、だからこそ、か。迷いは大きくなるばかりだ。散るなら華々しく散れと、そんなことを叫びたいのに、僕は無残でいる。僕らきっと壊れてしまえ。曇りの後には雨がくる、泣きながら僕は死んでいる。愛しさとは君が望んだもの、儚さとは僕の想いさ。


滾らせ、生き抜け。それでも俺は生きるしかない。死ぬことほど能の無い完結は無い。能無しだからこそ、研ぎ澄まされているのだろうが、俺はそれを選ぶほど真摯ではない。そう思い込む。