セブンシスター

なにもしないでいるのは、欺瞞だらけのせいだ。俺が嘘だらけのせいだ。そうして、何もしたくないと、俺の思うからだ。渇望が終わり、破壊が始まる。おそらく、いつもどおり静かなままで、壊していく。ぶうらり、ぶらり、夜の中なのだ。飯を食わないのも、明かりをつけないのも。深呼吸をするたびに喉の奥がぜえぜえと鳴る。笑うしかない。笑うしかない。笑うしかない。笑うしかない。咳き込み続けても、体の折れても、笑うしかない。どうやら体はそういう風にできているらしい。
話をしたくている。ずっと、ずっとだ、いつも、いつもだよ。長いこと喋繰っていたから、話さないことが悪のように思える。あの日を忘れることはどうやってもできないし、思い出にするまでもなく伝説であった。しかし、俺は、俺ならば、また燃やし尽くすことができるはずだ。火は二度と同じ形にならぬように、美しかっただろう光景は二度と戻ってこぬのだろう。だから、俺は燃やし尽くさねばならぬ。五臓六腑の全てを燃料にしなければ。骨と行くんだ。燃やせ、燃やせ。一片の悔いも残すな。


いやだね。俺は何もしないんだ。
俺は、何もしないと、本能でなく理性でそう決めたのならば、それも必然なのだと思う。きっと、俺が人間存在として真理にいたるには、ずうっと確固たる存在ではいることはできないのだ。
俺は欺瞞だ。こんな夜はそんな風に思う。俺の愛する人が、俺のことを求めているのを願う。それ以外に俺の生きる術は存在しない。俺は矮小な魚の雄だ。
どいつもこいつも壊れてやがる。正常なのは誰だ。魚の目のあいつが、真理をつかんでいるというのならば、俺はそんな世の中など要らぬ。あの日死んでしまえばよかったと、そんな考えに至るのなら、今日が死ぬ日だ。
何もしないなんて決めたのなら、もう生きていないじゃないか。あの子と死ねぬから、死なないだけの、生き延ばしでもなんでもなく、朝を待つだけの夜だ。


言われねば気づかぬような鈍感な男よ。
だめだな、駄作ばかりだ。書いては消し、書いては消し。生きては死に。死なないよ俺は。