義兄弟

幸せになったのかな、と独りになって紫煙くゆらせている。それこそ聖なる日じゃないか、皆が幸せにならないと嘘だよ。俺には何もできず、傍観者にもなりきれず、窪んだ眼で空を見上げているだけであった。月が、ぼんやりと雲に融けていて、良い夜だったな。あんな夜は幸せにならないと駄目なんだ。ぶっ壊して、また作って、だな。殺すつもりでやるんだ。傷つかないで幸せになろうったってどだい無理な話だよ。怖いな、傷つくのは怖いな、それでも、刃物を握らねばならぬ。ごめんね、俺は何もできなかった。頼ってしまったな、頼りすぎるのも考えようだね、俺は弱くなりすぎる、ごめんな。苦手なのは苦手だ、だからこそ、行えることを行う、それが大事だ、教訓をひとつ得たな。願うのは、俺の愛する人々が皆幸せになりますように、ひたすらそのことだ。
語りが足りないな、と思い出す。俺の言葉は拙く、ひたすら欺瞞に満ちたまま、それでも続いていくときのある。それでも語らねばならないのだ。人々を愛するということ、自分を殺すということ、そうして、幸せになる方法論を。
さてね、楽しかったよ、愛する友人たちよ。ありがとうね。らぶ!


ただ、歌の必要だ。証ということだ。俺の伝えたい全てのことを伝えきらねばならぬ、それを成し遂げるために死ぬのが一番だよ。景色を一新するのは心の臓をえぐるような歌だ、脳髄揺らされる、その瞬間だ。集まった後の夜だから、些細なことで悲しくなるのだ。悲しい夜にこそ歓喜の歌を歌わねばならぬ。辛い夜にこそ声高らかに愛しさを歌わねばならぬ。唐変木のこの俺さ、わかることだけは本気でやらねば俺の意義は消失するだろう。
俺は一人でないと信ずることだ。俺の歌は信頼に足るものとなるか。つながった気分のままでは何も作れないぞ。甘えと怠惰からは何も生まれない。頼るばかりじゃ駄目だ。早く一人に戻るんだ。


あの子とセックスしたいわけじゃない。そんな馬鹿な俺じゃないよ。理想的ではあると思うのだ、俺の一番の位置だとは思う。愛する人はいつだって一番の位置で、不可侵だ。cherryの匂いのあの人も、ゴスロリの子も、さぁ、君も、同じことだよ。愛する。らぶ、叫んで、答えてくれるのだから、好きだな。愛する、ってのは、君のこと。でも少しだけ満たされないな。足りないな。痛むな。なんなんだろうね、この寂しさは、悲しさは、切望は、さ! 近づきたいけど壊すのは嫌だな、弱っちまったな。わかってるんだ、それでも、俺はここで良い、のだと思う。いや、ここでなければならぬのだ、真実に愛することは命がけで、今の俺には誠実さが足りぬ。
怖いな。人というのは怖いものだな。だからこそ、つながることの、美しさ、か。