嗅覚を欲す

ところで皆、元気してたかい? 夢は叶ったかい、まだ生きてるかい、愛はどうだい。僕はずうっと弱くなったけれど、元からそんなに強くはなかったから、まあ、だいたいおんなじ様な感じさ。君は、ずうっと強くなったけれど、きっと変わってないんだろう。それってワリと、ステキなことさ。
今日の喉は、ヤケに乾いている。ヤケに乾いているので、僕はプルタブを起こす以外に、何も考えられない。いや、今日はそういうんでない、瓶にしよう。王冠のほうが、プルタブよりずっとステキだ。ところで、君の喉はどうだ。乾いているか。僕の杯を、この杯を受けてくれるのか。ニイと笑って、受けてくれるか。いつだってそれは、簡単な事じゃない。酒を飲むのが辛いのは、酒のせいではないよ。酒は心の割れ目に満ち満ちて、そうして翌朝には何処かへ行ってしまう。言葉は体中の血管に染み込んで、そうして翌朝には。


あれから何年か経ったけれど、僕は、未だに愛を信じている。