ずっと石を積んでいる

どちらでもいいことはどちらでもいいの、そんな理由なのだと思う。そんなわけがネェだろう、努力者は言う、どちらでもいいことなんて世界には一つもなくて、どちらかに決めて、それを必死にやらねばならぬのだ。ケチな男は言う、どこから夢だか現だか、それさえも分からないのに決められるものか。
ずっと端っこにいた。ずうっと端っこから、真ん中を見ていた。真ん中の奴隷達を見ていた。羨ましそうに見ていた。僕はきっと春に枯れてしまったあの花のように。酒を食らった翌日は、いつだって奴隷が羨ましい。自分を椅子に縛ってみても、川沿いを歩いてみても、肉を食って吐いても、羨ましいのだ。

「親の顔が見てみたいね……あいにくここには鏡がないのだけれど」
「死ね」
「君を好きな人がいたら一目見てみたいね……あいにくここには鏡がないのだけれど」
「……死ね」


僕がここから消えてしまえないのは、まだ僕が正常だからか。それとも何も持っていないのを信じられていないからか。終わらない冬は無いという。ならば、ずっとここで春を待つ。春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て、そうして待っているだけで日々は過ぎていく。
それならそれで、いいさ。
そんなわけがないだろうにね。