是非を問えば嘘が生まれる、そいつは多数決の矛盾と同じもので

平和な夜に鬱屈し、飛び出してみたものの、辺りには黒い犬、三毛の猫と、汚れたベンチ。俺は、あの日の缶コーヒーの味を思い出したいだけなのであった。僕は暗い思い出を待っているだけであった。痛みが欲しい、恐怖が欲しい、あるいは、絶望が欲しい。切望から、渇望から、意味は生まれる。満ち足りることで、俺は弱くなった。明日を叫べば未来は消える。昨日を歌えば過去は壊れる。言葉は要らぬ、思いだけあれば良い。関係はいらぬ、繋がりだけあれば良い。いつだって希望が欲しいのは、いつだって絶望だと錯覚していたからであった。いつだって明かりが見えていたのは、暗闇にたっていると妄想しているせいであった。俺は、俺の愛する人々から、希望を、光を、貰った。そうして俺は弱くなった。弱さを悪だとは思わぬよ、けれども、強さに憧るる気持ちを捨てるわけには行かぬ。


俺は、彼女に何をしてあげられるのだろう、それを考えること自体、俺にはおこがましいに思える。僕は、彼女に何をしてあげられるのだろう、それを考えること自体、僕にはふざけたことのように思える。今君が知ることすべて、何もなくなってしまえばいい。崩壊していく人間賛歌、後悔している人間参加。しばらく、しばらく、またしばらく、どうかしばらく待ってくれないか。俺が本当の愛を知るまで、僕が本当の君を知るまで。きっと、世の中のすべてが君を愛しても、僕はそうでもない、なんて首を傾げていたいのだと思う。ねえ、君の見ている世界なら、僕の夜はどんな色なんだい。怒鳴り散らす僕の声は、痛みをつける僕の指は、どんな色に見えているんだい。


格好つけ野郎の、悪口をいくらか吐いて、僕はどうしようもなく浅ましくなった。