僕を使ってよ

夜になるの、怖いことじゃなくなったな。朝が来るのが、怖くなったな。昼間は、ひたすらに終焉を願う。
毎日が革命前夜であった。在庫の切れた多感な時期は、しばしば興奮と同等に観測される。形容するのもおこがましく、掲揚するにはお子様でいた。海、霧の中に浮かぶ景色を、島と捉えるのではなく、ひたすらにぼんやりとした影が存在するように捉える。のうのうとたゆたうことは罪でさえあった。そう、罰を与えられたかった。


十一月まであんたは待つべきだった。少なくとも、あの釘バットのような夏が来るまでは、あんたは殺し続けるべきだった。あんたはこの涙がちの五月に死ぬのだと言う。だったらあんたは諦めろ、俺はその先を見つけに行く、あんたが殺しきれなかった緑の猫など気にするものか、またこの先も、あの子と二人で。夢と、愛と、あんたが隠した淡いもの、それを俺にくれよ。あんたはもう必要ないなんて口先、叫んでいるつもりだろうけれど、言葉はすでに地に落ち、喚く喚くさざめく喚く、掠れ、意味を放棄した。感情そのままの音は心地よい。あんたの痛みが俺の笑みに変わる。なぜ、なぜ、それなのに、あんたは笑っているんだ。俺にそのステージを見せておくれよ、なぜそんなところにたっているのに、あんたは、笑っているんだ。あんたは。
俺はね、罪滅ぼしだとかね、懺悔だとかね、そういうものは要らないわけ。そんな影がちらつくとね、どうにも殺したい気持ちになってしまうの。玩具を取られて悔しいかい? たいして大事にしてなかった奴だろうに。殺したいころしたい、殺されたいころされたい? 人間の言葉で話せよ腐れロボット野郎。早く一人になりたい、早く見限られたい、早く、早く! あの頃の、失う前の喪失感、手に入れる前の充足感。僕が無理してるって、君は言うのさ、楽なところへ、あたしのところに来なヨって。僕は君を好きさ、君は僕を好きかい。君は、どんな僕が好きだい。酒を飲むと弱くなるぜ、アル中なんて最悪よ。手を出しちまってよ、ヤっちまえばコッチのもんヨ、やっちまえよ、やっちまえよ、やっちまえよ。スピーカーから聞こえてくんのは何の歌さ。ホントのコトができないからって、ゴマカシばっかり上手くなったのさ。
夜になって、ようやく少しだけ怖くなれた。ここだったんじゃない、もう少し先の、何も無い場所へ行こう。決まってそこで何かを見た。予定調和でヤりたくなかっただろ。見えるもんは要らないもんだったろ。吐き気のするほど汚れた牙はどこにやったんだ。


また俺は道を踏み外す。好きだよ、なんてね。嫌われたほうがいいんだ。そっちの方が気が楽だから。そう楽しくもないやな。二十歳までに死ぬ予定だった。何が良いのかなんて自分で決めろよ。わかんないならわかんないままにしとくよ、俺は。