しがらみコンスタント

時がたって、昔思っていた場所とは違う、それも考えたことさえないようなステージに立っている、そんな夜がある。君に会うはずだったのに、気づけば一人でいるような。ねえ、あの、僕を形作ったあの人は、今はどこでどうして暮らしているのだろうね? 色のない日々を過ごしていれば、すぐに誰かに染められる。赤くなるのは、あの日見た夕焼けのような、静かに怒りの燃える、あんな朱に交わったときでなければならない。誰に影響されるは、自身でしか決められぬ。誰に影響するかは、自身には決められぬ。人と交わるというのはそういうことなのだろうと思う。
愛のために生きるのはやめた。だって愛なんてよくわからないんだもの。僕があの人を愛しているということが、それそのものが、どういう状態なのか俺には全くわからない。人を喜ばせるのなんてちょろいもんさ、気持ちいいことだけしてればいいんだ、嫌なことなんて全部忘れた風にさ。僕を見ているのに、僕を見ていないようで、あいつは言う。だってそうだろう? 嫌なものなんて誰も見たくないんだよ。誰も痛いおもい、したくないし、手放しでの賞賛は嬉しいものさ。
愛のために生きることにした。だって愛がなければ生きられないもの。こうして、俺のなすこと、思考、対比的に扱われるもの、それらはけして極端に考えてはならないもの、なのだろうが、どうしても極端に扱うことでしか単純化できず、また、複雑なままに扱うことは俺の脳のキャパシティを超えているように思われる。必要なのは単純だ。抜き身の日本刀のような単純が望ましい。扱いづらいが、ただその本質を見抜くことだけを考えればいい。

お手軽インスタントな革命に酔ってあいつら夢を見る
しがらみコンスタントな薄命に乗って僕は現実を知る
ねえ教えてくれよ 昨日何もしなかった降伏の意味を
ねえ答えてくれよ 明日何もないって見限りの意味を
今日はなんだかいい気分 今日はなんだかいい気分
今日は何故だかいい気分 今日はなんだかいい気分

Cの循環で、似非フォークソングを作る。行き着いた先は音のない世界であるというのにね。


あの子に謝らねば、と、そればかり考えては、紫煙を燻らせている。