食われてしまえ

感傷なんて糞食らえ、酒に逃げろ酒に逃げろ酒に逃げろ逃げ場はないぞ! 死ぬしかない。もう逃げ場はないんだ。
愛する友人たちが、そのまますぎて笑ってしまった。しかし、また彼らとは別離の地。地元の酒はいい、生き返るようだ、しかし地元の空気のほかに俺を生きさせるものはない。愛する人々が夜中に話してくれたことほど本当のことはないし、全てのことを本気でどうにかしてやろうという意思は、記憶だけでも俺の活力となり、また生き様を形成してくれる。スーパーカブが夜を駆けていく。まだ俺は泣けるのかい。もっともっとわからなくなってくれ。何もかもわからなくなってくれ。酒が足りない。駄目だ、恐ろしくて仕方がない。なんと俺はつまらぬ生き様なのだろう、それに、どうしてこうも世の中はつまらないのだろう。俺に強制されない意志をくれ。感化されない信念をくれ。絶望に耐えうる現実をくれ! 死にたいからって死ぬわけにはいかぬだろう、あの子が悲しむくらいなら俺は苦し紛れに生きていたほうが良い。そうさ、全ては苦し紛れのたわ言だ。生きる希望などひとつもない。本当は俺を無理やり動かす衝動、それは痛みを伴い、ともすれば終わった瞬間にもっと巨大な絶望を引き起こす、それがあるだけなのだ。俺がもう少し賢明ならば、何もかもを捨てる生きかたを望み、また実践するであろう。けれど俺はどうにもこの場所から抜け出すことができない。
煙を燻らし雨の中、日和っているだけなのではないかと考える。俺は、ただただ怠惰に暮らしたいだけで、逃げる口上として斜に構えているだけでないのかと。徒手空拳で生きるほかにないのだと悟っているならば、全てを壊しているはずだ。心の底からは思っていない。俺はいつだって口先だけだ。行動の伴わない言の葉になんの意味があるだろう。


もういやだ。俺はもう耐えられないよ。ただ酒を呷っている。俺に逃げ場をくれ。こんなにも滾っているのに、何故俺は動くことができないのだ。素面では足りない現実を僕にくれ。
アルコールが足りない。


ああめがまわる。


立て続けに日本酒を五杯呷る。まだこんなのじゃ駄目だ。もっともっとだ。全部わからなくなって消えてしまえ。