語り続ける

eastern youthの、地球の裏から風が吹くをエンドレス。本当に日本酒に合う。熱燗でいこう。


俺の幸せを食べてくれ。俺は何にも要らないのだから、あんたが全部持っていってくれ、僕は言う。

 獏の代わりに、何か黒くておそろしいものが僕を見ている。じっと見ている。僕は逃げられない。僕はここから絶対に逃げられないのだ。まだ保っているから。まだまだだ、まだまだよ。夜が笑う。永遠逃げられない。無限回廊だ。これは決定してしまっている。あいつらは僕をじっと監視していて、それから僕に詰め寄る。殺してくれ、殺してくれと言う。誰を? 僕を? それともお前らか。叫ぶ。金切り声だ。あいつらは僕だ。僕の顔をしている。カーテンの裏側にびっしりと張り付いているのだ。直径五センチほどの、ぬらぬらと光る黒い玉、それは奴らの卵だ。そこから、にちゃりと音がしたら、奴らは生まれてくる。そして、どうやら増え続けている。もう部屋に収まりきらないほどに奴らは増えている。
 例え僕がどこかへ行ってしまったとしても、奴らは先回りしてそこに居る。笑っている。僕のほうを見て、それから笑っている。殺してくれと笑っている。
 はは、死のう。
「死ぬなよ」
「お前が言うなよ」
 僕は笑った。


少しばかり、わからなくなっている。前後不覚ではない。ほとんど何もかもが、手に取るようにわかる。また、数少ないわからぬことも、わかろうとすればなんとでもなるような些細な問題だ。いくつかだ、恐ろしいのは、安定の中に確かに存在する不確定要素。全てがわかるなんて思っちゃいない。俺が、全て、と言うとき、それは強調したいほとんどのことで、不確定要素は無邪気にも排除されている。全てを知ろうとしても、どうせそんなことできっこない。わかった端から変わっていくんだ。あの子の気持ちも、あの日の笑顔も、ずっとずっと変わっていくんだ。俺だって変わらずにはいられない。悲しいよ。あんなに大事だったのに。
そこはどこ? ここはここ。あなたはあなた。おれはおれ?
全ては死ぬために。死ぬことと見つけるために。
なんとでもなれ、世の中よ。
俺は死ぬんだ。幸せごっこの偽善者よ、日和見主義の厭世者よ、あんたらはいつまでも生きるつもりだろうけど、きっと明日死ぬんだ。明日が素晴らしい保証はない。今日が素晴らしかった記憶もない。昨日が素晴らしかった思い出もない。だけれど、俺は正に素晴らしいという。へ、あんたはそこで辛い辛いと言っていればいいさ。そうしてそのまま死んでいくんだ。糞ッタレ。そんなことにさせてたまるものか。屑みたいなことをあんたに言わせてたまるものか。諦めさせてたまるものか。
俺は死ぬんだ。
捨てたくなるけど、捨てちゃ駄目だ。わかってるさ。


クロノトリガーのBGMが良すぎて泣く。打ち込みの再現がハッピーすぎると聞く、DJ1PROが欲しいな。