クラクションよりもやかましい

雨が降る、雨が降る、僕を殺す弱い雨、煙、ロックンロール。君のこと全部知りたい。僕のこと全部伝えたい。それだけなんだ。君が死ぬ前に僕を救わねば。俺は何も分かっちゃいない。一旦終わりなのだろうと思う。しかし、最後ではない。終結ではない。だから決めたんだ、いのちを燃やしてやる。悠長なことを言っている場合ではないんだ。今もまだ縄を探している、首をくくるにふさわしい縄を。そんなものはどこにも無いなんて知ってるさ、でも探すんだ、意義はない、意味もない、けれど探すことに決意がある。

 今死んでも構いやしない。
 きちんと思える。
 オーケイ、完璧だ。
 死ぬつもりなんかじゃない。死ぬまできっちり生き切ってやる。
 だからこそ、今死んでも構いやしないのだ。
 必要なのは納得と、少しばかりの懺悔だ。
 偽善者ぶってヨゥ。
 偽悪者ぶってヨゥ。
 ヘッドホン越しに風の中から声が聞こえる。
 何を言ってやがる。僕はずっとこのままだ。変わって、変わって、このままだ。

自分のこと、僕、と言う女の子。ずっと前に好きだった子(それこそ今も好きかきらいかで言えば好きなのだけれど、時間だけはずっと前で)、その子を思い出す。思い出すも何も、あの子は現在で、過去ではないのだけれど、それでも思い出すのだ。愛とは美しいもの、思い出は美しいもの、だからこそ。引っ張り出してきた思考に漂うは楽しいことばかりだ。これでいい。構わないさ。俺はそうさ、人見知りなんだ。
色んなことを思い出した、ありがとうね。らぶ。美しいな。
あの日見た夕暮れなんて無かった、結局のところ。だから、嘘なんて無かった。
らぶ。


向こう側をくれ。俺にもっともっと乱暴な向こう側をくれ。ゆっくり生きることを誓った俺に、在りもしない理想郷を目指す俺に、そして、あの日あの子の言葉でわかった、このやるせない俺に。
笑われたっていいんだ。それであの子が笑顔になればそれでいいんだ。生き延びるんだ。