巨大化

愛を残らず持ってけよ。僕の愛は全部あんたのものだ。ちっぽけでしがないけれど、その全てをあんたにやるよ。五分話したら好きになってしまうこの俺だ、いくらでも持っていくがいいさ。俺のこと殺したいほど憎んでるあの子、俺のことちっぽけに思ってる男、持ってけ持ってけ、俺の体を流れてるのは全部が全部、愛なんだ。憎しみや苦しみや、あんな夜なんて放っておけよ。俺があんたを愛してるって言ってるんだ。他の奴がどう言おうと関係あるかよ。あんな奴だってあんたを殺したいわけじゃない、どうにかこうにか必死なだけなんだ。あんたはそんなところで死ぬ人間じゃないよ。どうせろくでもないこの俺のさ、ろくでもない愛だ、いくらでも持っていってくれよ、それであんたを、俺は、自慢じゃないけれど救ってやるつもりなんだ。何も変わらないってさ、お前じゃ駄目だよっていうかもしれないけどさ、そうさ、とるにたらない俺の愛くらいポケットに詰め込んでいっておくれよ。餞別代りだ、な。
あんまりにさ、らぶ、だの、愛してる、だの言ってたからさ、どんなにか軽くなってるのかもな。俺の言う好きは、根源は全部同じことだ。傍に座らせて欲しいだけの、単純な衝動。近づきたいけれど、距離まで強制するつもりは無いよ。ただ、隣に座りたいだけなんだ、星を一緒に見たいだけなんだ、同じ音楽を聴きたいだけなんだ、同じ本を読みたいだけなんだ。
駄目だな、重荷過ぎるな。シンプルにいこう。


本が作りたいな、と笑っている。愛すべき友人と、少し前の話だ、話を軽くつけた。上手くいけば物凄いものができるに違いないと煙をくゆらせている。何を書くかが大事だ。そして、大事なことを書くのだ。俺の頭をめぐる全てのこと、単純表現でいこう、一言で表せるならばそれが一番いい。しかし、俺の言葉は拙く、たくさんの言葉を上塗っていくしか方法の無いときもある、そのときは、そうしよう、しかし、本気でそうするのだ。妥協など許すものか。愛の話がいい、それに、ハッピーエンドだ。幸せにならない話などまやかしだよ。
好きな人がたくさんいて、救われる話がいいな。構想を練らなければならない。プロットなしで途中まで行ってさ、そこからプロットを作るものだから、途中で飽きてしまうんだよな。あとは作業、になってしまうからだ。自分の中では完成しているからだ。きちんとしたものを作ろう。読ませることを考えよう。難しいな。できるかな。夢のまた夢か。


ゆっくりやって、それで駄目なら、ゆっくりを続けるだけさ。僕は僕を続けるよ。