不断

弱いもの自慢になるのかな、駄目だな。嘘の傷でつながったふり、弱ったふりで馴れ合いだ。人は気丈でないといけない。心のど真ん中に傷があるのが偉いのかい? 皆で悪いことすれば偉いのかい? それでずうっと子供ごっこを続けていくかい? 俺は、あんた方の美しいのを知っている、偽善を振りまけるのを知っている。綺麗なもんじゃないか。わざわざ自分を汚すなよ! 俺は、俺の愛する人々が自分を傷つけるのを憎む。美しいままで、綺麗なままで。それでいいんでないか、と思うのは俺がゆるゆると生きすぎているからかね。理想が、高いのか。
理想論だけでは駄目なのかも知れぬ、いつもどおり、俺が管を巻いているように、俺が全て間違っているのかも知れぬ……いやいや、かも知れぬ、ではない。そう、なのだ。そして、ただ平穏に傷をつけようとしているだけである。再構築の前に破壊は必須ではないが、多くの場合には必要とされる、のではあるが、俺には再構築してやれるだけの気概も力もなさそうなのである。壊したら、壊しっぱなしだ。蛇に足をつけるようなもので、大事なところで駄目にしちまう。俺は、黙っていた方が、いいのか、貝でいるような日々を、過ごした方が、いいのか。
あの美しい人々の汚れを、薄笑いで語られる毒を、受け止め切れないのなら、俺はもう離れたほうがいい! 美しき人々の、美しくあることを信じているが、それでも。


信じている、託している? 馬鹿馬鹿しい。俺は何を偉そうに言っているんだ。美しくあることを、強要している、だけじゃないか? エゴじゃないか。そもそも、俺の言う美しいとは何だ? 俺に都合の、良い事、そうであること、か? ならば、俺はもう関わってはいけない。俺の言うことは、言葉は、俺にも奴らにも傷をつけるだけだ。俺はそれを一番に望まない。
告白してしまえば、俺は、あの人らの、汚れた場所が、単純に、嫌いなのかもしれない。キチガイごっこを見てると吐き気がするのだ。馬鹿馬鹿しいよ! ならばごまかしては駄目だ。そうであるならば、良い顔ばかりしていては駄目だ。駄目だ駄目だ。
駄目なのか。
殺す必要はあるのか。言葉を、俺自身を殺す必要はあるのか、あるいは、あの人々とのつながりを。無い。少なくとも、そのままで、緩やかがいいのなら、まるで無いのだ。事を荒立てるのは得策ではない。悪いことしかないではないか。
でもね、痛むのだよ。見ないふりをするごとに、痛いのね。俺の理想郷が綺麗過ぎるせいかな。馬鹿だネェ、理想に現実がつぶされちゃあ意味がないね。反省が必要だ。理想を壊せ、現実を見ろ! 畜生め。




桑島由一氏の新しいのんが二十五日に出るからね、それまで。面白そうなんだよな。