ぬるい嘘

ぶっ壊れてしまいそうになる。あの子の言うは嘘なんかじゃないのだけれど、もしかすれば俺のが嘘だったのかもしれぬ。欲望のためだけに俺は。畜生。取り返しがつかねぇな、取り返すものでもないのかも知れぬが、汚れちまったような気がしている。あぁ、悲しい心に夜が明けた、かね。俺の愛する友は、とりあえず寝ろと、言う。そうさね、寝て起きて、気づけば消え行く煙の様か、夢枕に立つ残像か、見えなくなっていればいいのだけれどな。悪い予感がするのだ。とんでもなく悪い予感がする。俺は屑だ! ドブ野郎、こんな気持ちになるなんてさ。全部なくなっちまって、俺のいないなら良かったかな、畜生。全部俺が悪いんだぞ。全部俺が悪いの知ってるから、俺は見たくもない聞きたくもないと駄々をこねるの。
傷つけないと駄目なのかな、上手くやれんのかな。そう考えるも気持ち悪くて仕方がない。俺は屑人間だ。非のない非のないと信じていた、きっとそう思えるうちは俺に非などないのだ。だけれど駄目だ。今回ばかりは、俺が壊れちまいそうになる。


気持ち悪いんだよ。
面倒だよ。


じゃあね。


はいはいはいはいはい。駄目だな。何だよその自分勝手さは。求めたのは俺だ。与えたのはあの子だ。俺はそれを捨てようとしている。だったらさ、俺なんて消えるしかねぇじゃないかよ。俺はさ、結局自分がボロボロにされるのが嫌で仕方がないだけなんだ。どうせそうさ。あの子のため、皆のため。口先じゃ言ってばかりだけれど、全部自分自身のためさ。取り繕いに、嘘に。これも全部欺瞞だ。自分が傷つきたくないから、自分が嫌われたくないから、よわっちょろい振りをしている、被害者面をしている。
畜生、畜生畜生畜生、畜生畜生!


中原中也が素晴らしすぎる。泣く。馬鹿にしていた、今までの俺は残念だった。
寝るのだ。寝るしかないぞ。