宇宙を手に入れろ

少しでも幸せだと思うときにはさ、キチガイごっこなんてしては駄目だね。思うこともあるだろう、壁をたたいている間は、世界で一番不幸なのは俺なのだからね。リストカットの少女が何だ。自殺志願の少年が何だ。戦争をしている町で、毎日たくさん死んで、だから何だっていうんだ。自分しか見えないのではない、世界とは自分の周りだけである、テレビの向こうに世界なんてない、部屋を一歩出ればそこはあの世である、それだけのことだ。死人に口がないように、キチガイごっこを嗜む奴らには痛覚がない。痛い振りをしているだけだ、ね、その胸の痛みは、本当に本当か? 誰かのまねじゃないのかい? 誰かに心配して欲しいだけじゃないのかい? 自分のとるにたらない不幸に酔いたいだけじゃないのかい? キチガイごっこの少年よ、自分の嘘を信じる前に真っ当な人間たれ!


一億数千万か、あるいは七十億か。幸せ、平和、叫んでる奴は何なんだよ。現実を見ろ、誰も幸せなんかじゃないんだぞ、家を一歩出れば、いやいや、家の中でさえ平和なんてないんだぞ。皆死ぬ。もう駄目だ。屑人間しか居ない。「だからこそ平和を叫ばなきゃ!」ふざけるなよ屑人間。だったらこんなとこにいるんじゃねぇぞ。偽善さえもできてねぇじゃねぇか。口先だけのドブ野郎は偽善大王よりも程度が悪いぞ。屑人間が屑を口から撒き散らし、愛と平和を叫んでいる。「僕らはがんばらなくちゃ!」ふざけるな。その僕らに俺を入れないでくれるかな。自分が不幸なのに気づかないのかよ。僕は幸せだから頑張らなきゃいけないなんて、嘘っぱちも良いとこだ。俺はがんばらねぇぞ! 俺は俺のことだけで精一杯だ。たといあの子が、死にたい、と言う。その時にさえも、俺は何ができるかわからぬ。あの子は本当に俺の隣にいたのかな。もしも、あの子が僕のことなんてちっとも覚えちゃいないのなら、俺はこれからどうすればいいのか。ロマンチックな歌なんて何の意味もないね、それこそ薄っぺらな愛だの恋だの、安売りしてんだ。あの子を愛すことを至上の幸せとしていた俺は居た、けれどそれは過去である。キチガイごっこの少年だ、自分の嘘に溺れてる。三回まわってこれも嘘。
しかし、俺は俺に責任を持つ。俺は俺のしたことを、できる限り悔いぬ、そういうルールだ。責任逃れでたわ言ばかり、反吐が出るぜ。自分はもっとやれるのに、そんな言葉は聞き飽きた。寝言は寝てから言ってくれ。


好きな子と好きなだけ一緒にいることを、それを人は幸せと言うのか? だったらあのドブ野郎が幸せになりませんように! そう祈るだけだ。嫌だ。嫌いで仕方がない。俺は愛想笑いをしている。気持ち悪くて仕方がない。ずうっとそうだ。打開しなければならない。俺の器の小ささと、俺の視界の狭さを。
逃げても、逃げても、逃げても。心中する覚悟で、爆発させられる友を探している。義兄弟だな、つまりはさ。