GOING HER WAY

動悸が激しくなる。
いつまでも続く日々なんて無い。
僕はどこに行こう。眼鏡のあいつも背の高いあいつも細身のあいつもくそくだらねぇあいつも何もかもが嘘だ。雨のたびに心が細くなる。雨が好きなんて誰が言った。俺には待っているだけの時間だ。俺はどこに行こう。疲れた。どこまでも行けるバイクも無ければ、可愛い猫だっていやしない。歩いてもいないのに疲れている。世界は千切れていく皮膚のようだ。俺の好きでないものがそこらじゅうにいくらでもある。嫌いな人もできた。好きな人は、あんまり増えていなくて、好きということもよくわからなくなってきている。俺の好きというのは何だっただろうかと思ってみるも、そんなもの最初からわかっていなかったじゃねぇか、わかった振りして友達ごっこだ。話し合わせてただけだよ。愛想笑いに嘘の種。黙ってうつむいてた方が幾分かましじゃないか。
いくらでも続く日々なんてないんだ。くそったれ。くそったれめ。
音だけが救いで、今は音だけが聴きたい。少しでも嘘があったら嫌なんだ。信じられなくなってしまう。いったい誰のためにこの雨は降っているのか。僕はどこに行けばいいのだ。雨の止んでから、ゆっくりになってから、それからなのか。雨の降る日は天気が悪い。人の言葉だけれど、そう言うしかないのだ。今度は飛べるってさ、いつか飛べるってさ、ゆっくりやればいいってさ、どうにでもなるさってさ、立ち止まるたびにあの子からは離れていくんだぜ、馬鹿にしていやがる。
あの子と結ばれないってことになった夜はさ、俺は全部やめちまおうと思ったんだな。いのちってなんだっけな。大事なもんだっけかな。いつだって俺は、目的の先に何も見出せない。気づいちまうんだな、勘違いかもわからないけれど、やりきる手前で足を止めちまう。これは駄目だ、この道は間違いだ。思ってしまうのだけれど、ねぇ、あの時あの子の胸と性器以上、心だとか何とかさ、青臭いものさ、もっと触れてたら変わってたのかね? 嫌だな。悲しいな。
いつまでも続く日々なんてない。探しても駄目だ。かっこうよくもなれない。お気に入りの大きなヘッドホンは嘘みたいな音しか出ない。いったい何のために俺は。
俺はどこに行こう?