YURARI

透き通る緑の海が、ゆらりと流る白い雲が、暖かく揺れる空気が、この地にはあるでない。頭の中に残るは、愛すべき友人たちとの思い出と、腐った俺の泣きそな夜だ。キチガイの時間もシリアスの空間も体験した。実に気持ちの良かったよ、君らはもう少し、より自分のことを誇って良いと思う、それくらいの、ありがとう。無為に終わりかねない夜を君らと過ごせてよかった。あの地で君らと過ごし、この地にまた君らがいる。それでいいのかもしれぬね。俺の愛する人は自転車で行ける距離には暮らしていないのだけれども、それでも。
何かが変化し、劇的に脈動していくのだと、やはり期待してはいた。けれども何も変わりはしないのだ。全てはいつも通り。俺ということはちいとも変わりはせん、絶望も落胆もする必要のないだろう、予想通り過ぎたのだね。けれど、やはり、残念だ。なんだってきっかけを見過すのか。


足らない。まやかしもごまかしも必要ない。百万遍の嘘だって、きっと要らないのだ。俺は繋がりが欲しい。これこそ欠乏だ。少しでも満ち足りれば、次の瞬間から渇望が収まらぬ。

 あの子のために死にたいってさ、あの子と一緒に死にたいってさ、そう思ってたよ。雌に就いてなら、俺が思うのも、それこそ寝巻きは男の浴衣が良い、愛することはいのちがけで、甘いとは。けれども太宰のようにひとり残るくらいならば、俺だけがいなくなっちまう方が良い。


 笑った顔は嘘だらけ。泣いた顔も嘘だらけ。あぁ。


 理想ということが重過ぎる。

不毛なんだろうよ、俺の純真は。