SAYONARA ningen

自己正当化の限りを尽くす。自分に都合の良い嘘はどこまでも心地よい。


嘘なんて、気持ちいいだけの嘘なんて、んなもん嘘っぱちだ。
俺は、俺は、あいつらに申し訳なくてどうしようもない。糞が。違うんだ、こんな偽善の言葉吐くために生きてんじゃねぇんだ。全部本当だった。全部本当だったんだ。俺の気持ちはどこまでも本当で、俺の信ずるところまっすぐに向いていた。融通が利かないのだ、ここしか見えないのだ。見えていないのは俺だ。知ってんだ。知ってたんだ。けれど、俺はそうしたんだ。捨てちまった。放棄しちまった。それでいいと思う。これでよかったと思う。しかしこれ以外にも何かあったんだ。これしかなかった。俺はこれしか見えていなかった。俺は他の世界を見たかった。けれど見えたのはこれだった。だから走ったんだ。言い訳じゃない。言い訳なんぞし飽きるほどした。それに意味はいない。糞だ、畜生め。
誰にも謝ってない。
わやになっちまえば良いと夜に思う。俺は卑怯者だ。俺は糞だ。わやになっちまって、それから俺の汚さも自尊心も何もかんも混ざっちまえばいいと思った。寝るしかないと思って寝てしまって、けれど起きた今でも俺は寝るしかない。意識が重くて仕方がない。主観が気持ち悪くて仕方がない。俺なんてなくなっちまえばいいといくらでも思う。くそったれめ。なんか変えたいってな、なんか変えたいって俺は自分が変わりたいだけなんだ。そんでな、俺は誰も俺を変えてくれはしないから腹立てて、一人で腹立てて、そんで部屋にこもるんだ。何だ聞き分けのないガキだ。糞が。まるっきり本当のところ、変わっちゃいねぇじゃねぇか。すぐに絶望に追い立てられる。その絶望さえ自業自得だ。俺は糞だ。
一人だけか、ここは?
違うんだ。違うんだ。違うんだよ。何が違うんだ? 上手く言葉にできない。違うのか? 俺が違うのか? 俺の信じたものなど何もないのか? 奴らが正しいのか?
奴らが正しいんだ。俺が間違ってるんだ。だけれど、俺は俺自身が正しいだなんて思ってるから、俺しか正しいものはいないなんて自己満足をいつだって中心にすえて生きちまってるから、俺はどうしようもねぇのだ。俺なんて糞だ。山に行け、そこで転がっていろ。
山に行くさ。


頭冷えない。
寒いけれど、頭冷えない。


ただ、仲良しグループだけは俺は許すことができない。自分の好きな奴とだけ繋がりあえばいいなんて考えは俺はもううんざりなんだ。
だけど、俺もそんな関係しか持つことができないのかも知れねぇ。俺は目の前に見える全部と繋がりたいんだぞ。糞が。だけど俺はあいつを嘲笑うのだ。ただ嫌いだなんていう、意見が俺と違うだなんて、そんなつまらない理由で嘲笑うのだ。俺は俺自身が疎ましくてしょうがないよ。そのくせ自分は大好きだ。自分しか信じられない。世の中がもう嫌なのだ。世の中とは俺の見える場所全てだ。これも全部俺の視点からだ。
死にたいとかさ、世の中嫌だとかさ、そんな奴らと色々ぶっ壊したいと思ってた。ぶっ壊せると思ってた。だけれどよ、気持ち悪いな。普通がいいんだ。普通が最上級だ。異端は、糞だ。いつだって悪いことをしてきたのは異端の奴らだろ。気持ち悪いな。多いほうが正義だなんてよ、強いほうが正義だなんてよ、中学生かよ馬鹿馬鹿しい。だけれどそうなのだ。坊っちゃんが昔から嫌いで仕方なかった。何度読み返してももやもやと腹に溜まるのだ。あれは胸にも溜まる。あれをもてはやす奴らは頭がおかしいと思っていた。違うんだ。違ったんだ。あれが正義なんだ。畜生。そんなこと思うために俺は生きてんじゃねぇんだぞ。畜生。
こんな涙んために歌いたいんじゃねぇんだぞ。
あいつらを憎んで、そいで俺が正しいだなんてよ、そいで俺がすげぇんだなんてよ? 何のことはねぇよ、馬鹿だ。あんな奴らのために俺は死ぬんじゃねぇと思った。俺はまだまだいけるぞと思ってよ。だけど駄目なのかもな。ここまでだ。あんな奴らが全部正しいんだ。畜生め。
俺はここに来たくなかった。来たかった。わかんねぇ。何もかんもわかんねぇ。逃げだ。逃げている。消耗する。逃げは消耗する。放棄は消耗しない。今度のは、俺のは、放棄ではない。逃げている。そのうち逃げていることも忘れちまうまで、消耗する。だけれど影は追ってくるんだ。影は追ってくるぞ。思い出せば追ってくるんだ。目が怖いんだ。視線が恐ろしい。あぁ糞。


音が出したい。音が出したい。大きな音ならそれだけで良い。大きな声ならそれだけで良い。馬鹿野郎、俺の音楽は俺が終えちまったんじゃねぇか。馬鹿野郎。俺の音楽はあそこじゃできないってな、いくらでも今思うことができるよ、でもよ、でもよ、でもよ、本当はどっちだよ。わかんねぇよ。わかりたいよ。どこで俺は音楽ができるんだよ。


思ったこと全部まるっきり書いてんだぞ。整合性なんかあるかよ。俺の中にそんなもんひとまとまりもないのによ、整合性なんか存在しうるかよ。今言ったことは全部忘れた。今から言うことも思い出せねぇ。今自体もどこかにぶっ飛んじまって、それから俺だけがここにいる。
おい、おい? 聞こえてますか。聞こえるかよ俺の言葉よ。駄目だ。駄目だよ。どこにもとどかねぇんだ。ぶっこわせねぇんだ。ぶっ壊さないほうがいいんだ。ぶっ壊さなくて、それから安息、安寧に暮らしてればそれでいいんだ。多少なりともよ、俺の自己中心と合致しなくてもよ、そんなもんは放っておけば、世界は平和なんだ。耐えればよかったのだ。俺はそうしなければならなかった。もう遅い。迷惑をかける。迷惑をかける。俺こそが迷惑だ。俺は、迷惑だ。俺は迷惑だ。
時が全てを解決するという。解決じゃねぇよ、そんなもん。あの子からの電話を切った後も、そう思った。今でも思う。忘れちまうだけだ。そんなことあったなぁ、って、忘れちまうだけだ。


価値観とかそんな言葉は嫌だ。人には好き嫌いがあるとかそんな言葉は嫌だ。付き合えない人はいるよねー、だとかそんなん嫌だよ俺は。嫌だ嫌だ。嫌いな奴でも殴るのは嫌だ。そいつは俺がチキンだからって理由だけじゃねぇよ。俺は嫌なんだよ。嫌なことばかりだ。嫌なことで俺はがんじがらめだ。俺はどこへも行けない。俺の望む世界などどこにもない。当たり前だ。理想を追い過ぎなんだよ。俺の言う理想って何だ? 具体的になんだ? 気持ち悪いな、その具体的にって言葉が大嫌いだ。
具体的具体的ってよ、俺に具体のかけらもあるもんか。俺に何もないからこんなわけのわからねぇことほざいてんだぞ俺はよ。そんでよ、じゃあ君には何もないんだね、って、具体的に何もないんなら変えようがないじゃん、って、そいつは違うよ。そいつは違うんだよ。わかんねぇ、何が違うのか言えねぇ。俺は悔しいよ。俺の言葉には何の力もないのが悔しいよ。俺は誰も殴れねぇんだ。俺はそれが悔しいよ。俺に力がねぇのが悔しいよ。
じゃぁ力があったらいいのかよ、俺は? 力があったら俺の好きなように世界作り変えてやる腹積もりなのかよ、俺の望むようにやってやるつもりなのかよ。違うよ。そんなこと言ってんじゃねぇんだ。何が言いたいんだよ、俺は。
俺は俺の愛する人の望むようにすることを、望んでいる。だけれども、だけれどもよ、俺はもう愛せねぇんだ、あの人らを、奴らをよ。本当の意味って何だよ。わけがわかんねぇよ。愛だとかラブだとかわけがわかんねぇよ。セックスがしてぇのか? 馬鹿野郎。


どこに、俺のどこに何があるってんだ。どっかに置いてきたぞ俺は。俺はどっかに置いてきちまったんだ、見たこと何もかんもだ、考えたこと何もかんもだ、俺の何もかんもだ。だったらよ、それだったら俺はもっとすごかったっつーのか? 馬鹿を言っちゃいけねぇ。俺はここまでだ。俺は所詮ここまでだ。たとえ荷物増えたとて、逆に歩けなくなるのがオチだろ。ナイフの使い方さえわからねぇんだろ?
後悔も懺悔も必要ないと思ってた。俺はこの馬鹿な頭で思う、すまん、後悔してんだ、ちっとはよ。素直なんだ、馬鹿みたいに素直なんだ。だけどよ、俺はひねくれちまってる、ねじくれきっちまってる。
どうだっていいんだ。どうだっていいとかよ、俺は思っちまうんだ。これをよ、この俺を見たあんたがたはよ、あぁ、こいつはもう駄目だ、こいつには何もできねぇ、こいつは途中で諦めちまったやわな奴だ、あぁこいつは可哀想だ、思うか? 哀れむか? 馬鹿にするか? だろうな。だけどもうどうだっていいとかよ、それさえも思っちまうんだ。どうでもいいよそんなことは。
周りの目を気にすることが、いつだって上手くできずにいる。目が怖いから、まっすぐに受け取ることができない。怖いのは嫌だから、何とか動いてみても、そいつは視線の増す方向に動いてしまうばかり。馬鹿だ。
誰かよ、俺に道を示してくれないか? 俺の思うこととは何だか、何だかよ、二、三文字で言えそうな気がするんだ。俺はどうにも言葉が出ないけどよ、そんな気がするんだ。他人に頼りたいよ。頼ることは、今この状況で頼ってしまうことは、全て俺の愛した場所への否定を含んでしまう。ねぇ、そうだよ、君は正しかったんだ、そんな言葉聞きたいんじゃないんだ。そうだね、あいつらは糞だね、そんな言葉聞きたいんじゃないんだ。それを言うのはこの俺だ。この俺が言う。俺は何を言ってもらいたいんだ? わからねぇ。


嫌われるのが嫌だった。嫌われるのが嫌だ。嫌われたくないよ。誰にも嫌われたくないよ。


馬鹿言ってんじゃねーぞ。


なぁ、駄目だな俺は。良い気持ちでもなんでもねぇよ。心地よくも何ともねぇよ。