bastard

変化はしない。さもすれば悪くなっている。俺の言いたいことは言ったつもりだったが、どうやら何も伝わらなかったかのようだ。
糞が。そんなことを、そんな結論を出すためにお前らと顔向き合わせたわけじゃないんだぞ、畜生。俺はよ、あらかじめ俺の望むような結論を持っていて、それをお前らに求めているわけではない。けれどもよ、それは酷すぎねえか? この腐った空気が、臭いが、痛みが、何でわからないんだ? てめぇらの頭には糞でも詰まってんのか? ふざけんな。
分かり合うことを望んでいた。人は分かり合えると思っていた。そんなもんは嘘だ。異常なまでの違和感。根底にあるものがそもそも違う。いくら理屈が正しかろうと、俺はそれを認めることはできない。いくら理解できたとて、それは何の意味も俺に与えはしない。そんなこと話すためにお前ら呼んだわけじゃねぇんだぞ。違っているとすれば、俺とお前らが根本的に違っている場所は、そもそもの立ち位置だ。俺は繋がるために音楽やるっつってんだぞ。駄目だ駄目だ、俺はてめぇらと音楽なんざできねぇよ。どうしようもねぇよ。
どうやらわからないらしい、と途中で気づいた。どうやらこいつらには、俺の言葉がまるっきりわからぬらしい。俺の言わんとすることが、俺の意思が、俺の意図が、全くつかめていないようだ。こんなときは平行線だとか言うのだろうがね、奴らのグラフには俺の点さえ存在していないようだ。糞が。押し付ける気はないのだ、ただ、見ようと思ってくれればいいと思っていた。見ようと思ってくれれば、きっと見えるのだと。俺は馬鹿だね。ただのどうしようもない馬鹿者だ。人は分かり合えない。少なくとも、俺とあいつらは、絶対に分かり合えない。上辺だけの関係ならいくらでももてるさ、けれど、あいつらと音楽はできない。音の集合くらいは出せるかもわからねぇが、そんなもん作るために俺は音楽やろうって言ってんじゃないんだぞ。繋がるために音楽やるっつってんだ。
久々に頭に血が上っている。ロックでもなんでもない。ねじ切れた俺の、ひねくれきった奥底からの、純粋な吐き気だ。気持ち悪い。気持ち悪いよてめぇら。そんな目で見るなよ。気持ち悪いんだよ。糞。


打開などできはしないのだ。何故なら、最初から全てが壊れていたからだ。ずっと曖昧な笑顔を振りまいて、ずっと薄っぺらなテンションを保って、それが間違っていた。糞みたいなこの俺だが、もっと良い場所に移動するくらいのことはできる。笑えるね。冗談以外に聞こえぬさ。今は、俺と奴らがまるっきり違うのを誇りに思うよ。俺はこれではいけないが、少なくともあぁなってしまうより百倍ましだと何度でも思えるさ。珍しいんだぜ、俺の自尊心から来るこの感情。ずっと覚えていなければならない気がしている。


さぁ、さようならだ。そんな音など俺の耳に届きはしないからな。