ジングル

今日は上手く言葉が出なかったから、雨の後、乾きかけの泥のように静かにしていた。
昔は、と言ってもまだ今年の話なのだろうがね、落下するようになった初めの頃は、たとい落下したとて、上昇の勢いの落下を上回るさえあったのだよ。けれど、今はそれがない。落下して、落下して、加速度の緩やかにさがっていく様を他人行儀に眺めているばかりだ。上昇したとて、どうやら平穏かそれより少し上、日常止まり。静かに音楽を聴けるほど、か。それでいいのかもしれんね。俺は特別でなく、俺は異質でなく、俺は、俺は。中庸に生きるのは得意だけれど、それを半端に生きることだと子馬鹿にしていた。空回りしているのが何だか気持ちよくて、それを続けていればどこかにたどり着くのだと信じていた。それはもはやさ、過去だ。
今は、どこか億劫で、中庸に生きてさえいれば止まらずにすむのではないかと、考えている。
俺はさ、理想論語らせてもらえれば、毎日を十二分に過ごして生きたい。腹八分じゃぁ栄養不足だ。食えるだけ食って、歌うだけ歌って、それから眠れるだけ眠って、そう暮らしていたいのだ。根が単純なくせに、複雑に物事を考えようとするからこんなことになるのさね。自分なぞたいしたことのない、などと口先八丁。


利害関係というものが苦手でならない。俺とお前の関係にゃ、そんなもんが必要だったのか。そうか、お前の得にならなきゃ、お前の世界に俺の存在している意味はないのか、俺のぼんやりと立ち尽くす余地はないのか。好きとか嫌いとか、言っておくれよ。それとも害のあるなしじゃないと言えねぇかい。知ってたよ。昔っから知ってた。一度気づいて、嫌になっちまったけど、それでも、気づかぬ振りしていた。今も、している。だってさ、そうやって悪いとこ悪いとこ見つけていって何になるっていうんだ。小学生ん時の帰りの会じゃねぇけどよ、愛する人々の、愛すべきところくらい、いくらでも言えるようにしてなきゃいけねぇだろ?
でも、痛む。
痛くて仕方がねぇよ。吐き気がするほど嫌でも、その感情隠して君は薄笑いかい? 俺に対してもそうなのかい? だったら、俺はもうやめちまうよ。消えちまえばいいんだな。最後まで騙されていれば、騙されていることに気づかねば、安寧に暮らせていたものを。そんな汚いものが俺の周りにあるなど考えもしないほどに、俺は拙い思考しかもってはいなかったから、幸せだった! あぁ、幸せだった。

自分のことは棚に上げて、と思うだろうからさ、ひとつ言い分けさせておくれよ。俺はさ、自分のことなどまるっきりわからぬのだ。腐った木の橋歩く様に、足元を確かめ確かめ、自分の思考を思っている。君らに面と向かって言われるまでは、何にも気づくことのできないさね、悲しくなる。


俺の友人に対する愛情は、ともすれば恋人に対するそれにとても似ている。いや、俺が友人関係というものを上手く形成していけぬだけかもわからん。言えと言われればさ、大好きだ、言ってはにかめると自負しているよ。