終焉祭り

あー。あー。あー。マイクがぶっ壊れちまっているのか? どうやら俺の声はどこにも届かぬようだ。どうにかすると、今これ、この文、誰にも届いてねぇのかな? 何、誰に届けようと書いているわけではない、けれど、何だか悲しくなってくる、なってきちまう、わけだぜ。届いていますか? 何せ本気でぶつけてみてもちっとしか届かない俺の言葉だ、垂れ流しているだけじゃ駄目なのかもわからんね。
毎朝、眼鏡のあの子と、電車を降りるときに眼が合うを思う。いつも通りいつも通り、全部俺の勘違いだ。降りて朝の冷たい空気に身をさらすたび、自嘲しちまう。嬉しいのだ、眼が合うこと自体はね。それでもやはり、どうせどうせどうせどうせどうせ何もあの子にゃプラス方向の感情はなくてさ、糞、気持ち悪いと思われてるに決まっている! 考えるたびに、馬鹿騒ぎ。俺の、大好きだ、などと笑った言葉の白々しかったように、嘘など誰でも吐けるのだ、お笑いだ、俺はまったく全てにだまされちまうがね!
だますつもりなど、相手にはさらさらないだろう。わかっているさ、俺が勝手に、一人で、はしゃいでいるだけだ。くだらねぇ、吐く。


夜、寝る前にはいつも、朝になれば何か変わっていることを、祈る。ま、いつもいつも否定しちまってるようにさ、珍しいことなど起きようもない。起きるとすれば、そこから何もかも変わっちまうんだろうが、そいつを望んではいないから、かね。


音楽欠乏症だ。脳が疼く。すさまじい音を聴けば聴くほどに、喉が解放を望む。少しの間の我慢じゃねぇか、わかってるさ、わかってるけど、何だってんだ! 息を吸って、吐く、上手くできなくなる。激情に駆られる。だけれど、どうせマイクは、壊れている。精一杯叫んでみたとて、地球の裏側に届きはしない。せいぜい百メートル四方、届けば、と願う。願ってみても、声を出すことは、できないのだけれどね。
何もない。音がある、空気がある、色んな雑多、有象無象はあふれている。けれど、何もない。