WATARIINU

遠くから近くから視線と声、か。いつも通りもここまでくると流石にうんざりだ。もう飽き飽きしちまってはいたのだけれど、それを強く意識せざるをえない。うずくまるだけか? それとも壁でも殴ってみるか? 馬鹿馬鹿しい! 糞が。俺はここまでか? 大気圏抜けた気がしていたのも嘘っぱちか? 嘘でもあり、真実でもあるのかも知れぬ。見方だ、観測する位置によって変化する。今は、月の向こうと一転、地の中あるいは夢の島か。


いつだって強くなりたかった。今でも、ふと思い出すことの、ある。ぶっ壊れそうになるまでぶっ飛ばした日々を。また、俺の愛した人々と共に音楽をした日々を。なぁ、それは近き日にもあったがね、その話は今はおいておくよ。あれは特別だ。もう少しだけ、日常的な話だよ。
あの頃は、音楽に触れているというだけで、楽しかった。単純に、子供なりに、凄いと思った。今もさ、まるっきり子供だけどさ、少し違う気がしてならない。楽しいと思うことは、楽しもうと思ったことばかり。能動的に、あるいは攻撃的に全てにぶち当たらないと駄目な時期なのかもわからん。けれどもね、磨いだ爪など、ステージの上においてきちまったよ。もう一度そこまで、山越え谷越えして、取りにいくのか? 別の場所だが、きっとあるだろうそれを、取りに行くのか? わからぬ。俺にはどうにも判断のできぬ。俺が判断せねばならぬことなのに、俺が決断せねばならぬことなのに、どうにも俺はふらふらだ。馬鹿野郎、行動起こす前にこんなんでどうするんだ、叫ぶ声も俺を殴るばかりで、疲労を増やすだけ。


笑える日はまた来るのか。
大事な人に出したメールは返ってこない。どうしようもねぇのなー。話、つけようと思ったんだが、それさえも許しちゃくれねぇのかな? これも俺の罪か。
頑張ろう。いやに頑張りたくなくても、頑張らぬということをスタンスにして掲げちまうには早すぎるだろ? 無理やりにでも、歩け。あの子のことを思い出して、歩けなくなることの、ある。見えないものに押さえつけられるように。俺の好きだった人が、俺の知らない奴と、きっとエロいことをいっぱいしてて、きっと好きだよなんていう会話を交し合って。あぁくそ、どうしようもねぇな。
愛していると叫びたいがね、相手がいなきゃどうしようもないね。馬鹿らしいだけか、あぁくそ、もったいねぇ。