URESHIGAI

濃く作ったカルピスはやたらに美味くて、ちびりちびりと飲む。舌に感じる甘さはずうっと小さかった頃と変わらず、何かもやもやとした、けれど明確に意思のあるような想いが、心の臓から立ち込める。ただし、あの頃は夜の中で飲みはしなかった、と笑う。いじけているのかね、俺は、悪くない夜だけれども。


おざなりにしているのか、なおざりにしているのか、どちらも間違いでなくどちらも真理だ。いい加減、イイカゲンにすることをやめ、好い加減にせねばならぬ。けれども、さぁ、さぁ、と手を差し伸べる気はなく、さぁ、と小首傾げるだけだ。行動を起こさねばならぬ。必死にならねばならぬ。秋の夜長のぬるい空気から生まれるものは、怠惰なる時間だけだ。それを生かすこと、大事だ。馬鹿をやれ。真剣に、馬鹿をやれ。大事な機会のひとつだ、ぶっちぎらねぇと意味ねぇだろう? どうでもいいか、と俺以上に日々呟く君へ、捧ぐ。どうでもよくねぇよ。どうでもいいことは、どうでもいいと思っちまったことだけだ。思うな。思えば、終わる。終われば、思うこともできなくなっちまうぜ。
去年のこの頃かには、寒いね、と言ってくれる人のいた。今も、いるにはいる。けれどね、俺の求める声とは少し違うのだ。大事な言葉を、いつでも待っている。行動だ、行動。笑いかけて、一言二言。格好悪いと思われることを恐れるな。どうやったって格好よくなんてねぇんだ。平々凡々にいこうぜ。スタンスはいつでも一緒、格好付けを嫌うだけだ。


さて、時間はない。誰かを待たせている感覚が、永遠続いている。約束の時間には十五分前につこうとする俺だ、身震いするほどの違和感がしている。例えのまま続けるとしたら、家を出るのが怖いんだな。飛び出すことが先決だ。飛び出すために、靴の紐、切れていないことを確認しよう。どうにも、なんともかんとも、怖くて仕方がないが、とりあえずは、あと一週間だ。どうせすばらしき感動となるんだろ? だったら精一杯やってやろうじゃねぇか。
あと少しだけ、前向きにいられる時間を、願う。意思とは裏腹に落下が始まらぬように、思う。