ぺけぺけと

「風を撃て! はなから狂っている常識などそこらに撃ち捨てておけ! 僕らはこれから風と同じレイヤーに立つ! 現実を超え、期待を超え、音速を超えろ! 風を撃て! 希望そのものになれ! 生きて帰るだなんて甘っちょろいことは一片たりとも考えるな! 生きて帰って、それから大好きなあいつと死ぬまで幸せに暮らす、それくらいの希望を持て! 風を撃て! 笑顔を思い出せ! 僕らがこれまで出会ってきた人の、笑顔を全部思い出せ! そいつを全部抱えて行くんだ! 風を撃て! 空の向こうに! 空の向こうの、そのまた向こうに! 空の向こうのそのまた向こうの、もうひとつ向こうまで! さぁ、出発の時間だ! 風を撃て!」


ルービックキューブの解法を、どうしても教えてもらおうとせぬように。知っちまったらさ、つまらなくなっちまうんだよ。わからぬほうが、面白い。なんど考えてきたことだろうか。けれど、今は手っ取り早い解法だけを、求めている。俺が求めてるのは開放のほうか、開放のほうか? いや、一般論として、何者にも俺は拘束されちゃいないし、俺の立ち入れない場所など、俺には不必要なところばかりだ。俺を拘束しているもののあるとすれば、俺自身だし、俺の立ち入れぬ場所は、俺が決めている、か。普通すぎるのもこれくらいになるとどうかしてるな。いつもながら、そこらの、俺が軽蔑している輩と、同じようなことばかり、考えている。つまり、俺自身。