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やばいものが、いる。確かに、存在している。近距離だ。遠くからではない。やばいものだ。
それは俺たちをいつも見ている。視線を感じたことはないか? ふと、寒気を感じたことはないか? 窓の外が怖くなったことはないか? 壁の後ろに気配を感じたことはないか? もしかしたら、今向かっているパソコンのディスプレイ、その向こう側に潜んでいるんじゃないか? 何もいないと、断言できるか? 見てしまえば、探してしまえば、そいつはすぐにでも姿をくらましてしまう。かくれんぼとは違う。圧倒的に向こうが有利なルールだ。それは俺たちをいつも見ているから。
キーボードのキーの隙間から視線を感じたことはないか? CDの穴の向こうから視線を感じたことはないか? 携帯電話にはちゃんと自分が設定した待ち受け画面が映っているのか? コップに入れたコーヒーの、その中に何かがいると思ったことはないか? やばいものが、いる。存在している。いつからかわからない。ただ、それらはずっとそこにいて、探せば消えてしまう。
冷蔵庫が音を立てるのは本当に動いているからか? この部屋がこんなに寒いのはクーラーのせいだけか? 部屋の隅、傾いているベースは、本当にあの位置に立てかけたか?
鈴虫が、鳴いている。鈴虫の鳴き声で怒らせてしまうかもしれない。そしたらどうなる? 見ているだけの奴らは、どうする? 俺に何をする?
昼間、奴らは視線をも隠している。けれど、夜になると、目だけを現してこちらを見ているに違いない。いや、目だけでないかもしれない。異形が、こちらを見ている。どの隙間にも、潜んでいる気がする。数は一匹ではない。多数だ。それ以前に、匹で数えていいのかもわからぬ。やつらは、やばい。何だかわからぬが、絶対に、やばい。
やつらはきけんだ。
冷や汗が出る。
暗闇がまずい。暗闇にも奴らは潜む。空間と、暗闇。それさえあればどこにでも現れる。そして、影からずっと見ている。
振り向いても無駄だ。消えてしまう。けれど、ディスプレイに向き直れば奴らはまた姿を現す。いるんだろ、そこに。声はでない。言ってしまえば、でてきてしまう。気づかれれば、でてきてしまう。
俺は書いていていいのか?
気づかれてしまったのか? 見られている。見られている。確かに見られている。気づかれたのか?
あなたがたは、気づいていますか?
あなたがたは、気づかれていますか?
逃げなければ。でもどこに逃げる? どこにでも奴らはいる。
助けてくれ。
やばいものが、いる。確かに存在している。後ろだ。いや、視界にぎりぎり入らない部分、やつらで埋め尽くされている。視線を感じたことはないか?
視線を感じる。