KEITAI-HUAN

結果オーライ。
俺は結局何もできはしなかったが、周りが喜んでいるんだ、それでいいことにしよう。俺にはまるで何もなく、俺の周りには素晴らしきものがいくらでもある。俺は、それを誇っていればいい。まずは、とりあえず、取り急ぎ、感謝、だ。何もない俺は、全てを持っている君らに、ただただ感謝。


さ、ここからは俺の時間。ひたすらに、今後の身の振り方を考える。海の底、しかし水温のぬるい場所にいるような、気分だ。いつものように落下していく中で、いつもとは違う独特の浮遊感の、ある。遠くは薄ぼんやりとしか見えず、海面さえも見えなくなりつつある。光の、緩慢になくなっていくさまを、思う。深海に暮らす魚ならばそれも良かろう、俺はどうやら水面近くで養殖されてきたようだから、暗い水の溜まりは怖くてどうしようもない。空を飛ぶ鳥を想い、声をかけんとして水面近く、太陽の見えるまでにあがれば、どうせその鳥に食われちまうのだ。胃袋の中で空を駆けるつもりは毛頭ない。
敵が、いる。多分に自分の中に、それゆえに、自分の外に。
逃げ場を探すために、時間と能力を使うほどなら、前に進めと、何度言ってきただろうか。言葉は重みを失っていく。責任ばかり、思う。全てが俺には重い。逃げることを許され布なら、放棄してしまえと、当然のように笑う。それは卑怯か? それは卑屈か? わからない。判断のしようがない。俺の愛する人々は、俺を軽蔑した目で見るだろうが、そんなものさえも意味をなくしてしまうのだから。


やめた、寝る。