通過

遊びと趣味と欲望の重心に立つ。前進することだけは、ない。プラスになったことといえば、少しだけ腕の動きがよくなった、ぐらいか。発想力も何もかも鍛えられることなく、停滞し続ける。何をしているのだろう。俺は何をしているのだろう。自問自答しながらも、続ける。人の真似をしても、劣化コピーができるだけ。けれどまずは真似からはじめねば、屑のようなものさえもできはしない。圧倒的に、技術が足りぬ。技術がほしい。何のために? もちろん、自己満足のため、か。
結局はオナニーか。自己解決。
褒められたいという、あまりにも子供の感情、ずっと抱えている。同時に、嫌われたくない、というのも。それらがひどく巨大すぎて、通常気づくことは無かったが、四散したイメージの中でようやく見つけた。俺は、俺の大好きな人々を嫌いたくないし、俺の大好きな人々に嫌われたくない。単純な、願望。何かあるたび、崩れていく。あの人が俺をじっと見ていれば、俺は嫌われたのではないかと身震いするし、それでは俺のほうから離れてしまったほうが良いのでは、と画策する。きっと、杞憂に過ぎない。俺は俺の思うほど嫌われてはいないのだし、簡単に彼らから離れるべきでない。
本当にそうなのか?
俺はもしかすると、嫌われているにもかかわらず、お得意の鈍感で気づかない振りをしているんじゃないか? もしくは、本当に気づいていないんじゃないか?


わからない。


わからない問題はとりあえず、棚上げだ。俺は頭が悪いから、いくら考えてもわからない問題は、俺のちっぽけな脳ではいくら考えてもわかるべくもない。誰かが、俺の肩をたたいて真実を述べてくれるのを待つまでだ。それさえも真実かどうかわからぬけれど。駄目だ、それじゃ、いつまでもわからないままじゃないか。どうやったらわかるんだ? それもわからない。考えてもわからない。聞かなければ。けれど聞いても本当かどうかわからない。俺が、決めてしまえれば、いいのだが。息も絶え絶えにどちらかに決めてしまおうと考えあぐね、最後、出た結論は、保留、であった。わからない問題はとりあえず、棚上げだ。一番下と一番上がつながっている階段をゆらりと下っているような。
リセットの効くものはリセットしてしまえと意気込んでいたのだけれど、ゼロからのスタートはやはり苦痛でしかない。けれど、このやわらかすぎる地盤に時計塔など建つはずも無く。春、忙しい場所に身をおくべきだと考え、今この夏、まったく逆の考えで行動している。面倒は、面倒でしかない。俺が酷いマゾだといえども、どだいそれ以上の快楽へと昇華しない。


夏の日々が過ぎてゆく。寝苦しい夜に、部屋の暗闇を永遠見つめるのも、また一興だ。昼間、遠くに見える逃げ水を楽しむ余裕が、欲しい。それくらいでいいのだ。時間と余裕と、とりあえずはあと、七万字。