恋愛勘定

睡眠時間の減少は、ただただ涙を枯らすのみ。
辛かったことやさ、悲しかったことやさ、嘘や裏切りなんかはさ、忙しさの中に埋没してしまえば良いのだ。そう叫んでみるものの、それ自体が嘘で、自分への裏切りのように思える。あの子のことを、俺のだいすきだった人を、俺を愛してくれていた人を、忘れてしまうのは、許されないことのように思うのだ。けれど、ここでこうして、いつまでも思い出していて良いのかとも思うのだ。思い出に変わってしまってから考えるべきなのかもわからんね。思考は、どうにも働く気配を見せない。
それでも刻一刻と期限は近づき、責任はひたすらに重くなる。俺には抱えられないものだ。見ているだけでも辛いのに、それを俺にかぶれという。結局、俺の技術、能力、足りないだけなのだろうがね。俺が抜ければ完成しないとは言うが、俺がいたとて完成するものでもあるまい。だったら俺が抜けてしまっても、構わないのじゃぁないか? 忙殺される日々の中で、ちらりとそれを思うのだ。逃避でしかない言葉は、あまりにも深く隙間から入り込んで、悼む。
馬鹿は嫌いだ。俺は馬鹿でしかない。嫌いだ。自分を嫌いだと思ったのは何度目か、久々に考えている。自分を少なくとも、汚いものと思ったうえで肯定できていた時間が、消滅したのかもわからぬ。ただ単に、自己嫌悪だ。口に出した言葉を思い出し、悩む。行動を全て思い出し、悩む。俺はなんて馬鹿だったのだろう。俺はなんて頭の悪いのだろう。俺はあの人たちに悪いことをした。謝らねばならぬ。ごめんと、それだけを叫ばねばならぬ。俺はなんと調子に乗っていたのだろう。俺はなんと格好悪いのだろう。そればかり考え、ただただ中心へと収束していく。こんな俺は嫌いだと叫び、また落ち、そう落ちる俺も嫌いで、落ちる。極端な速さの落下。久々に感じる、衝動。当たり前すぎる。一般的すぎる。それがさらに、俺というものがなんだったか、その疑問を削る。しかし、俺が誰かと一緒なら、俺が素晴らしいと思っている人にも、もしかすると、俺と同じ部分があるというのか。他人を美化しすぎなのかもわからんが、美しく見えるのだから仕方がない。
珍しく、言い訳をせずに、あの子に、あの人に、嫌われそうなことばかりを書きつづっている。あの人が、メールでもしてきてくれないかなと願い、あわよくば話せはしないかな、と願う。あなたのことは、心の底から信じていますよ。だから、俺はあなたには裏切られても嘘をつかれても良いんだ。ね、だから、あわよくば顔と顔つき合わせて話せないかと、願ってるしだいだよ。