KICHIGAI

悲惨な楽観視の結果と未来への危惧。俺が、口を酸っぱくして言ってきたことはさ、全て無駄だったのか? 君の脳髄には届いていなかったのか? 俺の言葉は、俺の行動は、君に聞こえず、見えてもいなかったというのか? ならば、仕方ないのかもわからないね。これから俺は、少し黙ってみることとするさ。君が、始まるまでか、終わってしまうまでか。どちらかはわからぬ。五分五分、あるいはもう少し分が悪いかも知れぬ。けれど、もう少しだけ、待つよ俺は。


待つ時間に本でも読もうかと思ったのだが。
あまりにもだ。今の俺は、以前の俺と比べて、文章を読んでいない。そればかりか、絵も、音楽も、あまりにも吸収していない。気づくのが遅かったかね。外部からの情報の欠如、あるいは俺内部への圧力の減少は、俺の変化を少なくする。それはさ、安定とか言うものなのかもしれないが、んなもんは素晴らしいだけ、美しいだけで、何の意味も持ち合わせちゃあいない。格好だけのものをひたすらに憎む俺が、それでも格好付けの坊やでしかない俺が、あまりにも必要としていないものだ。けれど、吸収には時間が必要すぎて、嘆く。時間が足りぬ。あと三十八時間ほどあれば、と思索するも、その時間が無駄か。
な、どれが無駄でどれが必要化など、実際のところ、俺には判別はつかぬのに、ためらいもせずに取捨選択することがある。それは今だし、昔あの子に出会ったときだし、あの服を着た瞬間も、だ。な、いつも高らかに叫んでるようにさ、変態なんだよ俺はさ。正しいものなんか、これっぽっちも持ち合わせちゃいない。いや、それは流石に言いすぎかもわからん。少なくとも、あの人に想いを伝えたっつーことは、あの判断は正しかった。きっとさ。


閑話休題
自分の技術力を棚に上げてちゃいけないな。右に並ぶ奴の方が、俺よりもはるかに良い音を出す。けれどさ、負けてないものは、俺も持っている。あとはそれを表すことのできる力を得られるか、だ。振ってくるもんでもねぇしな、精進。