愛情表現

二番目の立場は、ただ保身のためにだけでなくさ、一番目を仰ぎ見て、俺はこの人についていこうと心から思うために。
調子っぱずれの音も、くだらぬ嘘ばかりの関係も、気持ち悪い趣味のぶつけ合いも、オタクもヒキコモリも、俺の吐き気がするほどに隠したい趣味だって、性欲だって、性衝動だって、それに行き着こうとする欲望だって、道具だって、あの人に話しかけたことだって、あの子に振られたことだって、あの子との思い出だって、チープに頭を周回するポケモンの戦闘テーマだって、それに続いて流れるFF7の戦闘テーマだって、雨の音だって、やかましいロックだって、果て無き色彩に彩られた俺の尊敬する人の絵だって、政治だって、戦争だって、人が死ぬことだって、人が生きようとすることだって、思い出の涙を流すことだって、吐き気だって、吐いたあとの物だって、内臓だって、脳だって、なんもかんも今の俺にはささえきれない。俺はただ、俺の愛する人々を、できる限り傷つけないようにするだけだし、彼らが俺を無意識にも傷つけてしまわぬよう、それで何かを思うことの無いように、俺は自分の身の丈数メートルが安全であるように、彼らの身の丈数メートルが楽しくあるように、すればいいとさえ思うのだ。
けれど、それはどうやら身勝手で、いつも俺がしていることのほうが身勝手ではないようなのだ。何故なら俺が身勝手に振舞ってきても周りのあいつらは俺を慰めてくれるんだぜ? なのに守ろうと思ったあの子はさ、俺を捨てていくんだよ! 俺はあの子を悪く言いたくて仕方が無い。けれど、そんなことをする俺は糞だ。自分勝手な葛藤だけにメモリが消費される。本質はさ、考えなければならないことはさ、これからも俺の周囲に存在してくれるだろう人々への、俺の対応だし、俺の愛情だし、俺の嘘だし、俺の告白だ。カミングアウトによって俺の得になっていること、俺の身にもたらされるものは少しも無い気がしている。けれどね、俺は貴方がたに言ってしまうんだ、俺の身の丈をさ。珍しいことだよ、俺が打算的に動かぬのは。彼らに、いや、貴方がたに言わない部分はもちろんあるけれど、その範囲が変わっていくだろう事は自覚している。
今の俺には本当に何も無い。あまりにもか細い腕が所在なさげにぶらさがっているだけだ。だからか、周囲の、少しの暖かさにも涙しそうになる。話しかけてくれることでさえ、帰り道を共にすることでさえ、メールしてくれることでさえ、ひたすらにうれしい。激しくも儚く消える声ならば、愛を、喉つぶれるまで叫ぶのだ。あの子からの愛情を、失ってしまって、俺は走ることができなくなった。激情が暴発することも無い。視線はうろうろと、少し遠くの町を眺めるだけだ。曇り空と澄んだ空気と。だけれど、別のものがあることに気づいたから、俺はまだ動ける。腕の一本や二本、どうだっていうんだ。口に性器でも突っ込まれぬ限り、俺はわめき続けるさ。
文章のまとまりは無いが、勢いというもの、自覚する。