愛情

ちょっと動こうとした途端にこれだ! 嫌になっちまうね。
果てなく続く喉の痛みと、一考に下がる気配を見せぬ体温。思考力は頓に落ち、あの子からのメールに返す気力もない。やる気のあるのが逆に辛い。今までとは全く逆の時間。これが本当の、休息の時期なのか。寒い風はいらぬ。今は暖かい布団の感触を少しでも長く、か。
町で見かけた美しき人が、妙に忘れられぬように。夢で見かけた美しき人が、頭からはなれぬ。
とりすぎた睡眠で、頭痛までする。今日は眠れぬのだろうね。それならば、ゆるりゆるりと頭を使うだけだが。くだらぬ物語を二、三書き、そのどれもの程度の低さにうんざりする。こんなものじゃない、俺の書きたいものは、俺の目指すものはこんなものじゃない。完成品が、変に見えてしまっているから、妥協することができぬ。悩み、悩み、一言ずつ言葉を重ねていくだけだ。あの人との思い出や、あの子との思い出や、そんなものから生まれた感情を、ただ文にせねばならぬ、表してしまわねばならぬ。
同時に、音楽というものの素晴らしさが、またわかるようになって来た。今は、何を聞いても素晴らしい。ロックも、ポップスも、歌謡曲も、昔のジャズも。リズムに身をゆだねることの快感を、しこたま感じる。聞くことだけでなく、表現というものも。最大限発散した時間を僕は覚えているから、その記憶だけにでもすがっていられる。
俺にはまだ、たくさんの人たちがいて、居場所がたくさんあって、時間がたくさんある。それにさ、やっと気づいたんだ。だから、ちっぽけな努力くらい惜しまぬようにしようじゃないか。な、飽くまでもポジティブだ。絶好調。暗転してしまわぬことだけを願う。