予想通り

絶好調だと思ったらやはりこうなるのか! 酷い落下が訪れている。
一緒に帰ったあいつには悪いことをした。一言もしゃべらず、虚空を見つめては楽器ケースを握り締める俺を見て、あいつがどう思ったのかはわからないが、無理に話しかけてくれようとしなかったのはありがたかった。な、ありがとう。そばにいてくれただけで俺は良かったんだ、今日はそれでいい。俺の勘違いだったとしても、暖かさ、感じた、ありがとう。
暴発する吐き気と、とどまることのない頭痛。壁を殴っても痛む箇所が増えるだけで、何の軽減にもなりはしない。なぁ、重いのだ。居場所が山のようにあるからとて、逃げ場が同じだけあるわけでない。混同してはいけない。あいつにまかせきってはいけない。けれど、責任とやらがどうにもいけない。見れば見るほど俺には持つことができず、見れば見るほど俺を保つことができない。最低の時間だ。人をただうらやみ、ねたみ、憎み、自分を棚に上げて。最低の俺だ。
やれることはわかってはいるが、そんなものはやりたくないのだ。やれないものが目前にあるから、怖くて仕方がないのだ。やれないかもしれないことが音もなく近づいてくるから、ただただ俺は、逃げ出したいのだ。
もう俺には無理だよ。全てができないとは思ってはいないし、よもや全てのことができるとも思ってもいない。けれど、やれないことはいつでも一番の恐怖だ。俺には能力がない。ないのに、やらねばならぬ。期待されている。しかもそれを最低限のことだという。勘弁してくれ。俺にはできないんだ。やりたくないんだ。あぁくそ、いいわけだ。負け惜しみだ。糞だ。
泣き言だらけ。一周してまたここに戻ってきてしまった! そんなもの一蹴すれば良いのだろうが、足は土に埋もれてしまったようで。音楽も、物語も、前日までの鋭敏さを失った。ピコピコというチープな音色だけが、今の頼りだ。吐き気の下にこれを聞き、善を装ったものを拒む。今の俺は何も残せない。伝えることも、伝えられることもできない。周囲のものは俺に届かず、周囲に届く声を俺は出すことができない。手を振られても、激怒してしまうのは目に見えており、手を振ることがまったく滑稽に思えるから、地べたに座ってじっとしている。
侵食されていると感じる。どだい妄想に過ぎぬだろうが。


構想の、山のようにあるのだが、形にする気力がない。メモを取る気力もないので、いつかは忘れてしまうのだろうが、もったいないとは微塵も感じない。