抽象的攻撃

まったくつまらない。くだらない。壊れてしまえば良い。あいつもあいつもあいつもあいつらも死ねば良いのに。そう思う俺ならば、結局俺が消えてしまうのが一番良いじゃねーか。
早いだけの音楽。高いだけの音楽。静かなだけの音楽。魂揺さぶったサウンドも、今は偽りにしか聞こえず、涙さえさせた言葉も、今は嘘にしか聞こえぬ。頑張れという声は重荷にしかならず、まだ時間があるという声は、その時間必死になれと強制している。いつからか走るのに疲れ、歩くのに疲れ、止まることに飽いた。どうすればいいのかね、泳げば良いのか? 長い距離を移動したわけでもないのに、足が動かぬ。
いつもの弱音を吐いたところで、新しい弱音。
世代交代の時期。俺の責任がますます増え、がんじがらめになる。つらいとかね、悲しいとかね、面倒だとかね、もうやめようと何度も思うのだが、壁を殴る手は止まらず、数度となくぶつけた頭からは生ぬるい液体しか流れない。快感でもなく、自分に酔うこともなく、ただ痛いだけなのに、ぼんやりと続けている。意図していないものが底辺から表れ、辺上にいたはずの俺は、図形の外へと。
重荷が増えるのが怖い。あと十日やそこらで、俺の時代が嫌がおうもなくやってきてしまう。うんざりなんだ。生ぬるいだけの空気と、妥協だらけの音たちと、気持ち悪いばかりの会話と、こちらを伺う視線。声は響き渡るだけで届きもせず、薄笑いに囲まれる。そんな必要のない時間ばかりが過ぎ、俺が求めるものは手に入らぬ。時間があったとて手にはいるわけではないのだろうが、それを言い訳にして泣いてばかりいる。事実は事実として捉えるべきだろうが、さすがにやりすぎかね。嫌いなんだから仕様がないと思うのだがどうか。あの部屋に行くのが、苦痛で仕方がない。けれど、毎朝足を運び、未来のない音を出す。なぁ、一体感だか連帯感だかなんだかしらないが、だからどうだっていうんだ? 楽しくもなんともない。瞬間、全てを見下す。
妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協、妥協。それだけだろ? なぁ、なのに続けろというのか? 俺だけが進んでどうにかなるのか? 違うだろ? 俺だけがとまってはいけないとは思うが、こんな船に乗り続けるくらいなら泳いでいったほうがまだましだ。やさしいだけの慰めも、先輩面した忠告も、馬鹿らしい。俺には届かぬ。だからなんだ、と首をかしげ、何を言っているのだろうこの人は、と唖然とするだけである。
急降下していく中での安定。今日はまた微妙な時間から始まるものだ。
いつしか、と素晴らしいことを話すも、ちぐはぐで、じぐざぐで、包んで捨てたあとのガムほどの価値もない。殴りたくて仕方がない。調子に乗るなよ。お前と、あんたと、君と、そしてあの子とこの俺だ。
脈絡もなく、思考は攻撃的に落下する。見えているもの、聞こえているもの、単純に嫌いになる。あからさまに子供っぽい感情、感傷。気に入らないことが、ただそこにたくさん存在しているというだけの、感覚。大人はみんな身勝手だ、とでも中学生が言うときのような、ふざけた論理。常識だけが碇である。
そんな奇麗事は他の奴に言ってやれ。何度でも言おう、うんざりだ。気持ち悪いんだよ、てめぇ。なぁ、もしかして親密な関係だとでも思ってるのか? ふざけないでくれ。冗談言ってる場合じゃないだろ。寝言は寝て言ってくれ。気持ち悪いものを垂れ流しているくせに、なんとかなる、だって? はいはい、よかったね。
酷く劣悪。攻撃しては振り返り、あぁ、すべきではなかったのにと落ち込むのだろうが、関係ない。今は悲惨に爪あとだけ残す時間だ。