君に見えない

この時期の苛立ちは、もはや当然となっている。
あまりの不恰好さに、危うく楽器を壁に叩きつけるところだった。物にあたるのと人にあたるのはどちらが悪いのだろうかと、どこか冷静で、しかしその冷たさに収束することはなく、壊れないものを叩きつけた。茶色はくるくると、跳ね返り、背後に落ちるも、拾いに行く手間さね。
休息が足らぬ。全力疾走し続けねばならない時間なのだろうが、普段でも人一倍の休息を必要としているというのに。胸の締め付けられる、あまりにも一般的過ぎる苦悩は、ただ人に当ててしまうのを恐れ、自己にあたって、跳ね返り、くるくると。跳ね返ったものはどこへ行くかわからず、どうやら人にも当たってしまう。俺は怒っていない。俺は嫌っていない。だから、俺から離れないでくれ、と言う声もいつものように絢爛豪華に響くでもない。
劇の終わりが近づいている。俺はいつも道化師であり、俳優であり、観客にそのおどけた姿、あるいはいらだっている姿を見せつけるだけだ。心からも笑っているピエロの苦悩など俺は知らないが、笑って見せること、いつでもどこでもそうできるわけではないのだよ。ん、あぁ、知ってるか。演じた姿が俺と一致するとき、恐怖でしかない。
全てのことをそこそこ上手くこなしてしまえるから、結局全てが中途半端に終わる。今回も中途半端に終わるのだろうが、それが気にくわない。子供なのさね。自分を大好きだと胸を張って意地悪い笑みを浮かべられた日々はとっくに閉じてしまい、気持ちの悪い笑みしか残ってはいない。