卑怯

また今日も、おれの弱さ、質の悪さ、卑怯さを露見するだけの結果となった。放棄することに対してためらいは全くない。けれども、その後の、無限の質量には怯えてしまう。急激には何も変わらないにせよ、あの人が、あの子が、おれを失望のまなざしで見つめること、にあまりにも耐性がない。努力をした人間に対しては、最大限の賛美でたたえるつもりだ。しかし、その声は、放棄したおれの声なのだから、届くことはないだろう。何かをわめいていると思われるだけだ。
これは明日に向けての休息だ、自分にそう言い聞かせる手間さえいとわず、何もない空間を見つめては、あぁ、ここにおれの望むものがあった、これでおれは安心できる、これでおれはもう動かなくていいのだ、と夢想し、紅茶が出すぎてしまうまでの時間、ニヤニヤと笑っている。
全てはおれのエゴでしかなく、無言のままに収束する。形のいい石を、昔見つけたはずの丸いのを、どうにかして見つけ出そうとしているように、困惑は複雑を極め、疲労のなさに疑問を感じながらも、探し続けている。
終わってしまうことが、散りゆくものに帰すことが、どうやらおれにとっては天敵なようだ。似合わない台詞を吐き出し続ける苦痛よりも、身の丈の一言を望んでいたはずなのに。