平気で

駄目だと言えるうちはまだ大丈夫、だというならば、おれは最後まで駄目だ駄目だと叫んでいようと思う。進歩や、成長なんていう素晴らしいものをすべて放棄する。爪先立ちで闇夜を歩くように。意外、という顔をする間もなく消えていく感情ならば。
それはばけものですか。
幻想的な現実が現実であっても、現実的な幻想は本当に幻想なのだろうか。事実は小説より奇なりとでも叫ぶのならば、二千回ほど幻滅してからがお似合いだ。およそ人間のすることというのは、思いつけるものだ、当たり前のように、結局は逆説のように。
近すぎる距離は、やはり恐怖を生む。あの子が少し褒めてくれたこと、そこに執着してしまう僕ならば、変化となってしまうのに後悔はない。綺麗に整列している、コピーされたような風景は、いくらでも興味をひく。山を二つ越えたところに街があるのなら、山を越えればいいじゃないか、と思うこともあるが、脚力のなさに嘆くのだ。
進まなくてもいいとあの子が言ったならば、僕はもう進まない。止まっていいとあの子が言ったならば、僕はもう動かない。寝ていていいとあの子が言うのならば、僕は挨拶すらもしないだろう。既に依存は強まっている。どうにかして、回避してしまわなければ、とは思うのだが、本当に回避しなくてはならないものなのだろうか、とも思うのだ。やはり恐れが前に出る。
謝れ。命令されることもいとわない。頭を下げたくて仕方がない。僕は謝り方が下手なので、馬鹿にしてると思われがちなのだけれども、そういう時は、だいたい馬鹿にしているのです、ごめんな。
高飛車な態度でないと、人に接するのが面倒になってきた。小ばかにしたような口ぶりや、くだらないくだらないと切り捨てていく手際ばかりを、求め始めている。増やしたから切るのか、切るために増やしたのかは定かではないが、切ってはいけないものだというのはわかっているけれどもね。