中和

結局のところ、うだうだと、長々と、飽きるまで、いや、もうとっくの昔に飽きてはいるのだが、仕方なく、自分の好きな音楽を垂れ流しながら、自分の嫌いな物事を考えているだけなのだった。それで中和できるかと思ってやってみたが、大して効果がなかったので両方放っておくことにした。
そう、放っておいてしまうからいけないんだ。わかりきっていることを数百回目に思った。貴方が気付いてくれないからいけない、なんて言い訳は何度したことだろうか? もうすぐ誰かが帰ってきてしまう。それまでにこの想いをぶつけなければいけない。だから僕は。
実際は全て僕の都合のいい勘違いであったとしても、またとない、実際生まれて初めての、この感動を伝えなくてはいけないのではないか、そんな幻想すら抱いているんだ。
最大限に、良い方向に、貴方が深読みしてくれることだけを願った。大好きだ、と伝えるすべがないわけでもないのにもかかわらず、僕は屋根の上で孤独な少年を演じきった振りをしている。
自分の事を格好いいなどと思ったことはないし、そうなれるとも思ってはいない。でも諦めているわけではなくて、例えばそれは、あぁ、泥臭い例えしか出てこないから、例える気がうせた。いつからこんなにスマートでなくなったのだろうか? 最初からだというのにそういうことを考えてはため息をついている。
ビートがなくても、混沌としていても、でもその中には愛情があって、そういう音楽をやりたいんだ。
返事が返ってこないことに戦慄する。答えておくれよ、部屋の中をぐるぐると回る、自分のあまりの醜態におびえながらも。
はたして、答えは返ってきた! 感謝! マックスな僕に戻ることが出来た! ありがとう! そしてさようなら! 嘘、いつまでも一緒に! 冗談、なんて冗談じゃない。
だからそう、貴方がいれば良いわけではないんだ。貴方の言葉が届く場所に僕がいて、そして貴方が存在を感じさせてくれる、僕をリアルにしてくれる、言葉を、つむいで、つながって、あぁ。そうじゃないと僕は満足できない、から。
少しして、貴方が僕のことをなんとも思わなくなってしまったときには、少しだけ貴方の声を、僕は聞きたいと望むだろうけど、それはかなわぬ夢となってしまっているだろう。夢は夢のままでとどめておいたほうがいいということを僕は知っているから、歩き出せばいいだけなんだろうけど、それはやはり、泥臭い例えと、やる気だけのロックが足枷となって、地面にひざをつくしかできないのかもしれなかった。