乱雑

ずっと、歯の浮くようなセリフばかり考えている。その場その場にあった言葉をその場その場でつむぐことが能力的に不可能だと諦めてしまっているから、コンスタンスにそれを生産できる人に嫉妬しながら、ある種快感とも言うことができる、自らの力の足りなさを痛感するという行為を繰り返して繰り返して、頭を痛めて、即興的に、むしろ俗物的に、くだらない言葉を、書きとめている。もしも僕が貴方を守るため、というだけの理由で貴方を守ろうとしているのなら、それは僕のつたない言葉じゃ正当化することは出来やしない。プラチナの指輪をひざまずいて捧げながら、今まで書きとめた言葉を使おうとして、それでもそんな言葉は恥ずかしいから使えなくて、それでもその一瞬をドラマにしたいばかりで、それでも、それでも、あぁ、そんな素晴らしい時を、貴方とともに過ごすそんな一瞬を、ただ期待してばかりいる。現実的なことをまるで考えていないのに、まるでそれがさも現実でさえあるように、思う。窓際で夜風に揺れるノートの数ページを左手で軽く抑えながら、右手に持ったシャープペンシルで自分の頬を軽く押して、まだゆっくりと考えている。行動を起こしたほうがいいのかもしれないなんて、自分でもわかっていることを揺ら揺らと思案しながら、字が上手くなりたいなぁと、少しだけ思った。