you may 無実

昔、俺、というのが何だか嫌で、おれ、と言っていた。今は、別段嫌ではない。昔から色々なことがあって、これからも色々なことがあるのだと思う。俺は変わっていく。変化に気づかないだけで、あの愛する人も変わっているのだろう。思い出の中ではあまりに綺麗なあの人、どんなにか変わっているだろうか。変わっていたとして、俺はその変化に安心するのだろうか、それとも失望するのだろうか。
あぁ、思い出も、記憶の変化したものだという。唇の柔らかかったこと、冬の寒さに体温の心地よかったこと、マフラーの暖かかったこと、夜の公園の変に明るかったこと。今となっては全て肯定的に捉えているが、あの時は、快いものだったか。思い出せば記憶にはきりが無い。とめどなく脳に浮かぶ映像の根本は心にとどまっているが、ニュアンスは変化してしまっているのだと思う。端々の変化、それが、根源存在を変えるにいたる。
一人称で俺が変わったのか、俺が変わったからこその変化なのか、決めてしまうには確証が足りない。ただ、俺が変わっているのは確かなようだ。


髪が昔のビートルズみたいになっててね、どうにも重苦しいから、もうちょっとすいてやろうと思っている。おかっぱみたいにしてやったら気持ち悪くて面白いと思うんだが。ばっさりやっちまってから、どうにも寂しくていけない。許される時代がきたら、また伸ばしてやる腹積もりだ。その時は、あのゴスロリの子みたいに、腰までかな、だとかさ。