ROCK'N'ROLL DNA

満たされない。解放でなく、自由でなく、傍らに存在するのは白い影、嘘の記憶と冬の恐怖、人の優しさと僕の偽善。何だか満たされないのだ。欠乏、欠如、欠損に欠落。なんにせよ欠けていることに間違いはなく、足りていた記憶の、在る。最強感がよみがえらない。俺は、いつか、最強であった。神は超えていた。それが今はどうだ、伝えたい言葉さえ満足に言うことができない。出したい音さえ素直に出せない。書きたい文字さえ正しく表せない! 屑だ、ここにいるのは人ではない、さもすると生物でさえない。飯を食うということさえ面倒で仕方がない。味ということを忘れる時がある。何を食っても同じだ。それでも、ハッピーターンまるごとバナナは、美味い、感じる。だから俺はそれでいい。体の周りを流れ、絶えず動き続ける気体など、疎ましい以外に何の感情を抱けようか、呼吸の意味は忘れた、あぁ、人間根本の衝動、忘れた、ロックンロール、わからない、愛と平和、嘘だよそんなもの。消えようと思う度に、しかし感じざるを得ない、飽くなきまでの生への執着。
終着。
終わるまで、俺は生ききらねばならない。確かに生きていないと、生きていることを実感できない。日々を怠惰に過ごす、得意だが、嫌いなのだ。気持ち悪くて仕方がない。不愉快だ。居心地が悪くて仕方がない。足りない。魂が動かないというのは、安定ではない、むしろ不安定である。魂は常に動いてなければいかん、揺れ動かされてないといかん。ロックンロールが必要だ。わからなくなっている。俺の欲しいものは不明瞭だ。いつだってごまかし続けている。けれども、本心ではあるのだ。極論、俺は何でもいいのだ。ロックである必要さえないのかも知れぬ、単に今そこにあるのがロックだというだけであって。
ジャンル分けとは聴く側のためにあるものだと思っている。似ているものを並べて晒して、選ぶ基準にするためだけの、指針。何でもいいのだ、俺は何でもいい。俺は、頭の中何にもなくなっちまうまで吐き出せれば、いい。空気が、場所が、人が、それを許してくれますように、願うだけなのだ。俺の愛する人々と音楽がやりたくて仕方がない。俺が、俺の愛する人々と、共に同じものを見たという瞬間が欲しい。脱ぐのが偉いんじゃないよ、脱ぐほどの精神状態まで行くことのほうが何千倍も大事だ。結果ではなく過程にこそロックはある。


さて、あらぬものを貰う手はずがついた。確かに冗談で欲しいとは言ったがね、本当にくれることになるとは思わなかった! ありがたく頂こうとは思っているよ。これは私信として。愛してるぜ、らぶ!