GANBOU

最終的には、俺は痛いから、と全部済ませてしまえれば良いのだけれど。
僕らの日々がやってきている。見えているもの、見えていないもの、全てに責任を負う代わりに、全てを進める力を得る。無限の可能性なんてちゃちなものじゃなくて、有限の、とびっきり愉快な希望だ。つまり、これこそがポジティブということ。クレイジーにフリーダム! やがて、離れていくとしても、むしろ俺の愛情が間を引き裂くこととなっても、俺は愛すよ。らぶ。今メールしてる年上の女の人も、とんでもなく綺麗だ。夏の似合う人だと、思うから、夏がやってくるのが待ち遠しいさね。光が、腕を白く映すのを、日焼けを嫌って日陰に逃げ込むのを、笑って、僕は見たいと、ふと思うのだけどね、結局、全部妄想、全部幻想。果たせぬ夢か、あるいは誰にも告げない想いか。
気持ちが良い夜だ。さすがに、メールで、ジャンキーか、と罵るのはまずかったか。ジャンキーってなに、と聞かれてもね? 中毒者のことですよ。軽い気持ちで言ったんです。深い意味はありません。冗談です。冗句です。常套句です。

「僕は露出狂で、女装趣味で、ヒキコモリで、変態で、それでいてナルシシスト。僕はこんなにもひどいんです………僕はこんなにもねじくれているんですよ。だから―――僕を愛してください」
「きもちわる。黙れよ豚」

文章を打つ。ストーリーが、やんわりと流れていく。完成しないだろう話は、とどまらず、描くキャラクターが、ふと頭の二割ほどを占めている気がして、考える。俺は、こいつなのだろうか、と。こいつは、俺なのだろうか、と。奇妙に残る残像と、陽炎の向こうのような原風景。俺の欲望を端的に表しているのかもしれぬ、とも。デフォルメされたものは、本体を捉えにくくなる代わりに、細部の印象を激しくする。極度にそうではないとも、俺はそうであるのかもわからぬ、と、笑う。こんなことあの人にもあの子にも言えねえけどな。な、一方的な自己顕示欲と、征服欲だ。格好悪いことはなはだしいし、俺はそんなことを叫ぶ奴を軽蔑するだろうが、俺なのだから始末に終えない。


今日は、一人で、音を鳴らしてきた。ど、み、れ、ふぁ、み、そ、ふぁ、ら、そ、し、ら、ど、し、れ、ど。繰り返される単調な音と、疲ればかりの雑音、ノイズ。連続的になりもせぬ音。汚らしいばかりの。落ち込むことは、落ち込む。けれど、それすらも味気ない。マイナスのない代わりにプラスをもなくしてしまったのか。大好きだと思うことも、嘘のように感じて、薄っぺらに感じて、悩む。彼らを、彼女らを愛せなければ、俺は彼、彼女らに顔向けできないね。
豚は俺だ。だとしたら、トリュフが探せるかもな。