Don't stop the beat

早くも燃料切れだ。オーバーブーストが終わってしまった。昨日までの速度を、保つことすらできず、ただ失速していく中で、前へ前へとかろうじて進んでいる。
昔話となってしまったが、親愛なる友人に、どうやらお前は僕に全てを見せていないのではないのか、と首を傾げられた。俺が首をかしげるのに対して、畳み掛けるように、言葉が重なり、俺の後ろに横たわる目が、二つ、増えた。
ねぇ、結局のところ、俺は貴方がたに汚い部分を見せたくないのだ。貴方がたの前で、目の前で、あるいは人づてに聞いた話の中でさえも、俺は、いつでも偽善者で、全てを馬鹿にするだけの矮小な生物でいたいのだ。楽なのだよ、腐りきっているだけの時間は。ただ、汚いものを隠すために、別の汚染物質を体にぺたぺたと貼り付けていく。
ごちゃごちゃとしたカタチである俺は、素晴らしき速度など出せようもなかったが、確かにあの速度は、本物だった、実感だった。近い過去への、ある種、望郷にも似た感覚よ。またいつかの日、俺の知らぬ、どこからか来る何かという不安定でしかないものが、俺の心臓部へと、その鋭敏な燃料をぶち込んでくれることを望む。
しかし、今は、面倒で仕方がない。俺の愛するあの子さえも、今は、怒りの捌け口でしかない。死んでください、俺に近寄らないでください、そういいたいのだが、なぁ、そういいたいと思っている俺は、正しくないのだろう? 言ってしまえば俺は終わってしまうはずなのだが、それを言いたくてたまらない。