自慰

欲望だけが募る。右手を動かしていれば良いのかね、俺は?
かっこ悪いことを言うのにだいぶ慣れてきた、いやいや、最初からそれを目的としていた。ここまできたのだから、と思うことは多々あるのだが、それはそれ、完成してないことには変わりはない。綺麗には見えてしまうものだけれどもね。
行為、そのものについて、ぼかし続けることは、欲望の名のもとには許されないことだから、抱かせてくれ、と一声叫ぶだけで良いのだけれどもね、大体、それは面倒で面倒で、何が面倒なのかを考えさせられるね。自分のかっこ悪さ、が、やはり僕は嫌いなのだ、それを人の前にさらしだすことは、恐怖そのものでさえある、のかね。
麻薬か、つまりは。
ずっと考えているその一言を、定着させるまでには酷く骨が折れた。そうさね、僕は心の奥で、怖がってばかりいるのだ。関係性、やはりそれも、綺麗に見えるもの、なのだけれど、壊れて、四散していく様子、見えて仕方がない。汗を拭く限りである。嘘を吐いて、気に入られようとした過去なんてさ、許すべきじゃぁないのかね、お互い様だよ、そんなものは。
あの子の全てが嘘ではないという保証がどこにもない。勘弁してくれ。恐ろしすぎるだろ。彼女の言ったこと、したこと、されたこと、見せる笑顔、嘘ならば、僕は死んでしまう他ないに違いない、のだが、多分普通に生きているだろうねそんなときは。
ここからは、別の話。
僕たちの好きなあの人がただただ単純に、幻想ではなかったことが分かったのだから、それ以外に道を見出す必要が、ある意味なくなったのかもしれないと考える僕は、異端かね。現実、リアリティ、そうさね、肉感があるのだから、自慰でもなんでもすれば良いじゃないか。