事実

愛してると言ってくれたのなら、もちろん俺も渾身のなれない笑顔で返す予定があったのに、どうにもその下準備が足りなかったせいか、くだらない想いがあふれすぎたせいか、つまらない時間が長すぎたせいか、そのどれもが当てはまりそうな時間が流れたからなのか、軽くうつむいて、照れて、うん、と軽く、でも心なしかしっかりと頷くことしか出来なかった。
絶望の絶頂にいつまでたってもいようとする惰性だろうか、それとも輝かしい未来なんていう素晴らしすぎるものへの反感なのだろうか、周りからは気持ち悪く見えることさえわかった状態で、漂うことを自分に余儀なくさせている。そこに突き刺さってぶち壊しにする能天気な刃物が、大好きで仕方がない。
だから、だから、だから、と何気なく続けて、何気なく、幻想的に、ある種抽象的ながらもはっきりと拡散していくだけの機敏な意思という代物を、つなげていくしかないのかと思い知る。
よし、笑う。
とりあえず、と何度も何度も繰り返して、進んだ距離の短さに落胆しながらも、これをつないでいけば、いつしかは何かにたどり着くのかなぁと不確定なことばかり考える。その時間は、嫌いではないので、満足はするが、その結果には満足しない。
だから、笑う。